文=川端暁彦 写真=六川則夫
7月7日、ユニバーシアード男子サッカー競技はグループリーグの最終日を迎えた。ここまで2戦2勝の日本は、1勝1敗のマレーシアと対戦。FW澤上竜二(大阪体育大)の2得点など大量4ゴールでの圧勝となり、1位通過を決めた。
相手に先制を許したイラン戦、1-0の緊迫した状態が続いたブラジル戦に比べると、危なげのない試合だったと言えるだろう。25分という比較的早い時間帯に澤上のミドルシュートが決まって先制したのも大きかったが、何よりも守備陣がまったく崩れなかったことが“危なげのなさ”を生んだ。「このチームの一番の売りはディフェンス」と神川明彦監督が日ごろから強調するように、ほとんど相手にチャンスを作らせることのない完封勝利である。
その中心になったのが萩間大樹(専修大学)と田上大地(流通経済大学)の両センターバック。特にこの試合では田上の存在感が際立った。
「ゼロでいくというのは試合前から言われていたし、点を取ってからはなおさらゼロで終わるぞということを話し合っていた」(田上)
相手の縦パスに対して適切なポジションを取ってインターセプトを狙いつつ、空中戦でも存在感を発揮。加えて大きな「声」でチームをリードする姿も印象的だ。味方を励まし、指示を与え、集中の持続を促す。67分までに3-0とリードを奪う理想的な展開だっただけに、逆に“だらける”試合にもなり得る流れだったが、田上の声はそんな空気を引き締める効果を生んでいた。
田上は当初発表されたユニバ代表ではバックアップメンバーとされていた選手だが、大宮内定のDF山越康平(明治大学)が負傷辞退したことで、正メンバーに昇格した。
「バックアップ登録でしたけれど、自分としてはユニバ代表の一員のつもりでずっと準備はしてきた。山越の分までという気持ちは当然あるし、特に声は(監督の)神川さんに期待されている部分だと思っている。劣る部分はあるかもしれないけれど、声出しだけは絶対に誰にも負けないつもり」
そう力強く語った田上は、「この大会に参加できたのは幸運を生かすためにも、1試合1試合を大切にしていきたい」とコメント。目指す先はもちろん、決勝トーナメントの一番上である。