大型選手発掘と競争の活性化…6名初招集のU-18日本代表候補合宿でFW垣田裕暉が好アピール

文・写真=川端暁彦

 12月7日から10日にかけて千葉県市原市内でU-18日本代表候補合宿が行われた。同代表は2年後のU-20ワールドカップ、そして5年後の東京五輪を目指して活動するチーム。今年10月にはアジア1次予選を勝ち抜き、来年秋に予定されているAFC U-19選手権(U-20ワールドカップアジア最終予選)への進出を決めている。

 今回の合宿はその先を見据えながら、「『個』を大きくして新しく競争をしながら、高め合っていく」(内山篤監督)ための第一歩と位置づけられ、6名の選手が初めてU-18代表のリストに名を連ねた。すなわち、GK大迫敬介(サンフレッチェ広島ユース)、DF大南拓磨(鹿児島実業高校)、常田克幸(青森山田高校)、小島雅也(ベガルタ仙台ユース)、MF佐藤亮(FC東京U-18)、FW垣田裕暉(鹿島アントラーズユース)の6名である。

 方向性の一つは大型化。大迫、大南、常田、垣田はいずれも185センチクラスのビッグマン。「当然、(大型選手を)意図的に選んだ」と内山監督も明言するとおり。11月に行われたイングランド遠征ではU-18イングランド代表に1-5と大敗。フィジカル面の差は「幼稚園児と中学生くらい」(DF浦田樹)というレベルだったこともあり、少しでも差を埋めていくための大型選手発掘は大きな狙いの一つである。もう一つは、1次予選が終わった段階でもう一度代表のラージグループを作り直し、競争を活性化させる狙いである。高円宮杯プレミアリーグEAST得点王である佐藤は「結果を残したら呼ばれるんだとあらためて分かった」と手応えを話す。全国のまだ選ばれていない選手に「チャンスあり」と火をつけるのも大きな狙いと言える。

 もっとも、いきなり代表定着にアピールできた選手がいるかと言えば、「特に後ろの選手は、すぐ共有できるほど甘いものではない」と指揮官が言うとおり。チームの約束事を把握し、僚友の特長を理解して自分の良さも分かってもらい、その上でピッチ上のパフォーマンスに昇華する必要がある。予選をともに戦い抜いた常連組の選手たちにはすでにそれがあるだけに、「すぐに溶けこむのは難しかった」(佐藤)、「緊張してしまって自分を出せなかった」(常田)となってしまったのも無理はない。その点について言えば指揮官は百も承知。その上で「プラスの部分も見えた」と前向きだった。

 その中で最もアピールに成功したのはFWの垣田だろう。9日の日本体育大学戦の後半に登場すると、「自分の仕事は体を使ってボールを収めること」と前線でよく起点となり、最大の持ち味であるヘディングの強さも見せた。空中戦に特化したタイプは日本に少ないだけに、途中交代のオプションとしても面白い存在になる可能性は見せたと言えるだろう。

 いずれにせよ、まだ最終予選に向けた競争は始まったばかり。中1日の連戦となる大会だけに、登録23人全員が戦力となっていることは予選突破に向けた絶対条件。選手層を膨らませながら競争を通じて個々人がどこまでレベルアップを図っていけるか。10年ぶりの出場を目指すU-20ワールドカップに向けて、「競争」こそが大きなポイントとなる。

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