文・写真=川端暁彦
2年後のU-20ワールドカップを目指して活動中のU-18日本代表は、12月7日から10日にかけて千葉県内での強化合宿を敢行。1月から活動を続けてきたチームにとって、年内最後の活動だった。9日には日本体育大学との練習試合を実施。関東大学2部リーグの王者であるそのチームを率いるのは、前U-19日本代表監督の鈴木政一氏である。
昨年ミャンマーで行われたAFC U-19選手権。FW南野拓実、MF関根貴大、GK中村航輔ら世界を夢見た若者たちの雄図は、準々決勝にて惜しくも断たれた。当時の監督が鈴木氏であり、現在U-18日本代表を率いる内山篤氏はアシスタントコーチを務めていた。新チーム結成当初、この敗戦について内山監督は「負けるべくして負けたなんて思っていない」と強弁していた。同時に「(鈴木前監督の)やり方が間違っていたとも思っていない」と。だからこのU-18代表は戦術的な部分の大枠において、前回のチームを継承している。同じやり方で、今度こそアジアを抜けるというのが大目標。再挑戦のステージで「『勝負弱い』なんて言わせない」(内山)ことを目指している。
もちろんマイナーチェンジはあって、オーソドックスな4-4-2の構えは同じながら、よりサイドアタックを強調しているのが内山ジャパンの特徴だ。後方からのビルドアップで複数人が絡みつつ、サイドバックとサイドハーフの連係で外を破るというのが大きな軸。2トップはペナルティーエリアの幅より広く動くことは少なく、明確に「ストライカー」と言うべきタイプの選手を集め続けている。点を取れなくて負けたという反省を踏まえて、点を取る形の徹底と点を取れる選手の発掘に力を注いだ1年だったという言い方もできるだろう。
一方、「師」の目に新しいU-18日本代表はどう見えたのだろうか。鈴木監督に話を聞くと、「いいんだよ、俺の意見なんて」と苦笑しつつ、「特長のある選手を集めて共有してやろうとしているのはよくわかった」とコメント。その上で「2本目のほうはきっと(代表に)来たばかりの選手が多かったんだろうね」と初選出の選手が多かったことを見抜き、「攻守のやり方が共有されていなかったけど、これは時間がかかることだから仕方ないんだ」と、不出来なチームに頭を抱えているであろう内山監督をかばった。
歴代の各年代別代表は「断絶」していることが珍しくないだけに、鈴木前監督から内山監督へのバトンタッチはこうした雰囲気をちょっとばかり変えた。少なくとも指揮官は手探り状態ではなく、目指すところが見えている。あのレベルも、失敗した理由も含めて。
「選手たちには『まだ時間がある』なんて雰囲気もあるけれど、そんなことはない。1次予選ですら、ああ(緊張で動けない状態)だった。最終予選となれば、もっと大きなストレスがかかる。『予選になればできますよ』なんて雰囲気ではダメ。いまから準備しておかないといけない」
内山監督はそう言って、2015年最後のキャンプを締めくくった。