文・写真=平柳麻衣
第93回全国高等学校サッカー選手権大会で星稜高校を初優勝に導いたキャプテン、鈴木大誠。今シーズンは関東大学2部に所属する古豪、筑波大学に進学後は、高校サッカーと大学サッカーの違いに悩んだ時期もあったという。
「ゲーム展開が全く違う。高校サッカーは行ったり来たりという感じだったけど、大学サッカーは、攻守を切り替える時間帯がはっきりとある。その分、サッカーの形がしっかりしていて戦術的な理解が必要になるので、自分はそこで苦労したし、小井土(正亮)監督からも『高校サッカーのイメージでやっていたら違うぞ』と言われました」
それでもリーグ第3節で大学デビューを果たすと、前期リーグこそ出場は3試合にとどまったものの、アミノバイタル杯や総理大臣杯では主力として出場を重ねた。特にアミノバイタル杯決勝では、大学屈指の攻撃力を誇る明治大学を相手に、同じく1年生センターバックの小笠原佳祐(東福岡高校出身)とコンビを組んで見事に完封。惜しくもPK戦の末にチームは敗れたが、鈴木は自らキッカーに立候補し、冷静にシュートを沈めた。
星稜時代に培った度胸の強さは健在で、「どんな大会でもまったく緊張しないタイプだし、強い相手と対戦するのはワクワクする」と言いきる。また、「試合の前日は楽しみで仕方なくて、相手のドリブルを阻止する、相手の上からヘディングする、一対一でとにかく勝つ、という自分をイメージしている」という。
筑波大は前期終了時点で3位と昇格圏から外れており、厳しい戦いが続く。かつての強豪校として宿命づけられた1年での1部復帰という目標を達成するため、鈴木が持ち前の物怖じしないプレーでチームをけん引していく。