文=吉田遼平(慶應スポーツ)
前期リーグ戦は5位という成績で折り返した慶應義塾大学。第12節の対戦相手の順天堂大学が第95回天皇杯全日本サッカー選手権大会に出場、さらに台風の影響による試合の延期もあり、この試合が後期の開幕戦となった。相手は桐蔭横浜大学。前期リーグ戦は11位と低迷している相手だけにしっかりと勝って勢いをつけたい試合であった。しかし、開始直後から完全に桐蔭横浜大ペース。中央突破を許す場面が何度も見られ、ボールを奪えない。42分に先制を許し、その2分後にも強烈なミドルシュートを決められ、2点ビハインドで前半を折り返す。しかし後半は、慶應大が試合を完全に支配する。53分の田中健太のゴールで反撃の狼煙を上げると、62分、87分にも得点を挙げて一気に逆転。アディショナルタイムにもゴールが生まれ、劇的な形で勝利を収めた。
関東大学リーグ優勝に向けて絶対に後期開幕戦は勝ちたい慶應大。前期リーグ戦とは少し違う布陣で試合に臨んだ。アルビレックス新潟で出場を重ねる端山豪を欠く中、前期リーグ戦はセンターバックを務めていた宮地元貴がボランチでの起用となった。また、前期開幕戦で負傷した田中もリーグ戦復帰を果たした。
試合は桐蔭横浜大に序盤から攻勢を掛けられてしまう。11分には中央突破からシュートを浴びるも、これはGK宮原隆志がキャッチした。しかし、その後もセカンドボールを相手に拾われる場面や、中央突破を簡単に許してしまうシーンが多く見られ、攻撃に転じることができない。
それでも、31分には宮地が左サイドで力強いドリブルを見せる。だが、フィニッシュには結びつかず。38分には井上大のオーバーラップからクロスを上げるも、中の選手には合わない。その後のCKでも松木がニアサイドでヘディングシュートを放ったが、これはゴール上へ。
慶應大が徐々にペースをつかみつつあったが、42分に得点を献上。鈴木国友からの落としに反応した石川大地にDFがかわされ、ゴール天井に決められてしまう。その直後にも、山根視来の豪快なミドルシュートで追加点を許し、前半を折り返した。
苦しい展開となった慶應大。しかし前半とは打って変わって、後半は試合を支配する。開始から高い位置でプレスを掛け、相手に自由を与えない。50分、右サイドで得たFKだったが、宮地には合わない。その3分後、宮地の縦パスを受けた山本哲平がラストパス。田中が左足で逆サイドに決め、1点差に迫る。
勢いそのままに慶應大が攻め続け、58分にはペナルティーエリア内で仕掛けた松木が倒され、PKかと思われたが、惜しくもシミュレーションの判定。それでも、直後に同点弾を決める。62分山田融のCKから松木が得意のヘッドでネットを揺らし、早い段階で追いつくことに成功した。
70分に黄将健、75分に手塚朋克と攻撃的な選手を投入し、逆転を狙い攻め続ける。そして87分山田が蹴った高いボールに久保飛翔が相手GKに競り勝つ驚異的なゴールでついに逆転に成功。さらにアディショナルタイムには途中出場の黄が相手DFに競り勝ち、ダメ押しのゴールを決め、試合を決定づけた。結果は4-2の快勝。後期リーグ戦開幕戦での逆転勝利で勢いのつく勝ち点3となった。
2点差からの逆転勝利、4得点という素晴らしい形で再スタートした慶應大。だが、目標は関東大学リーグ優勝。前半のような展開が多くなれば目標を達成することは困難になる。「ピッチ内で戸惑いがあった」(久保)と特に守備面において修正するべき点が多くある。後半のような勢いのあるサッカーを見せながらも前半の修正点を改善し、安定した戦いぶりで勝ち点を積み重ねていきたい。
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