文・写真左=平柳麻衣、写真右=鷹羽康博
慶應義塾大学のルーキー、FW松木駿之介。豊富な運動量と前への推進力を武器とし、1トップやサイドなど複数の攻撃的ポジションをこなす。慶應大では2列目の左サイドを主戦場とし、リーグ開幕戦で先発フル出場を果たすと、以降ここまで全試合に出場を続けて体力を惜しまないアップダウンで存在感を放っている。
身長170センチと上背はないものの、空中戦を得意とする松木は、第2節駒澤大学戦で生まれた大学初ゴールもMF端山豪からのクロスを頭で合わせて決めた。9月21日までに挙げた5得点のうち、3得点がヘディングシュートによるもの。また、一対一での粘り強さや、体を張った泥臭いプレーが特徴的で、守備での貢献度も高い。松木自身、泥臭いプレーのお手本である日本代表FW岡崎慎司(レスター)を好きな選手に挙げている(大会公式プログラムより)。
今、大学サッカー界で注目を集めている松木だが、高校時代には大きな挫折を経験している。高校サッカー選手権の舞台に憧れて名門、青森山田高校に進学し、迎えた最後の冬。1回戦で大分県の中津東高校と対戦した青森山田は、1-1で突入したPK戦の末に2-4で敗戦した。キッカーを務めた松木は失敗し、この上ない悔しさを味わった。
高校生活最後の大舞台で経験した悔しさを晴らすために、松木は努力を惜しまない。ピッチ内では誰よりも走り、身を削り、気持ちを全面に出してプレーする。その松木の熱い想いが、慶應大を悲願の関東大学リーグ制覇へ導く。もう一度、全国舞台にリベンジするために、松木は突き進んでいく。
By 平柳麻衣