文・写真=鈴木拓也(明大スポーツ)
スケールアップした頼れる男が戻ってきた。今シーズン4月にFC東京から特別指定選手の認定を受けた室屋成。前期は週の前半にFC東京の練習に参加し、後半は明治大学に戻ってリーグ戦に備える形になっていた。8月の総理大臣杯準優勝後は大学が夏休みに入ったこともあり、FC東京の練習に本格的に参加。プロのトップレベルの環境で磨いたのはプレーの精度だ。後期戦初出場となった第17節法政大学戦では、右サイドでのキレのあるドリブル突破から相手DFを置き去りにすると、ドンピシャリのクロスボールでFW和泉竜司の先制ゴールをアシストした。「安心しました」とまず一つ成長の証を見せた。
「試合に出ることも自分には必要なことだと思いましたし、監督とFC東京の人たちと話し合ってこっちに出ることになりました。試合に飢えていた、出たいという気持ちはありました。でも向こうでしっかりと練習しているし、すごい自分が成長できたのでそういうのをここでしっかりと出せればいいなと思います」
1年次から持ち前のスピードと90分間上下運動を繰り返す圧倒的な運動量で大学屈指のサイドバックの地位を完全に確立。昨年は大学生で唯一のU-21日本代表選手として第17回アジア競技大会に出場し、室屋成の名を世に知らしめた。そして「勝負の年」と掲げた今シーズン。特別指定選手としてFC東京の練習に参加し始めると、トップレベルの環境で荒削りの才能にさらなる磨きを掛ける。今夏のユニバーシアードでも日本の3位入賞に大きく貢献した。
特別指定選手認定時にはクロスボールの精度を一つの課題として挙げていた室屋。しかし今節では和泉の先制ゴールのアシストに加え、再三のピンポイントクロスで法政大を苦しめる。戦術面でのこだわりが強いマッシモ・フィッカデンティFC東京監督の下で培った危機管理能力も光り、攻守において圧倒的な存在感を放った。「東京の練習では一つ一つの質というのが全然違うので、そこはすごく勉強になりました。(今後は)まだ分からないですけど、行ける時があれば練習に参加して、明治で試合に出るという形になると思います。このプレーをずっと続けていかないと意味はないと思っているので、後期の試合を全部合わせて自分が質を上げていけば成長したなと実感できると思います」
葛藤もあった。「自分が後期試合に出るのが初めてでチームが良い状況にあったのでとにかく勝たなきゃいけないなと。それとずっと早坂(龍之介)とかが試合に出て良いプレーをしていた中で僕が帰ってきて試合に出るって形だったので、自分が力を見せつけなきゃいけないなと思っていたのでしっかりアシストもできたので良かったと思います」。層の厚さが魅力の明治大。常に危機感と競争意識を持ち続けることができるのは室屋もまた同じだ。
原点は明治大にある。「優勝するためにはこれから全部勝たないといけないですし、自分が入ったことでチームが良くなるようにしていきたいです」。プロの世界へ飛び込んでいく後押しをしてくれた明治大のスタッフや支えてくれたチームメートへの感謝の気持ちも大きな原動力となっている。
明治大は第17節を終え、勝ち点28で5位。そして次節は勝ち点33で首位を走る国士舘大学との対戦となる。「国士舘は粘り強い相手なので、そんなに簡単にはいかないと思うんですけど、明治の実力から言えば勝てる相手だと思うのでしっかりと倒して優勝するためのきっかけにしたいです。違いを見せつけて勝ちます」。飛躍を続ける室屋が逆転優勝へのキーマンとなる。
▼生年月日/1994年4月5日 ▼身長・体重/174cm・65kg
U-17日本代表、U-19日本代表、U-21日本代表、U-22日本代表、ユニバーシアード日本代表を経験。高校3年次にはJ1・清水エスパルスからも入団の誘いが舞い込んだが断り進学。リーグ戦では1年次に新人賞を、世代別代表での活躍が評価された2年次には特別賞を獲得した。
---------------------
明大スポーツのweb(http://www.meispo.net/index.php)では、記事の他に試合後のコメントも掲載しております!Twitter(@meisupo)では試合の速報をしています。
さらに、webでは注目選手のインタビューや連載企画を不定期に更新しています!サッカー部のみならず、明治大学体育会情報が満載ですので、是非一度アクセスをお願い致します!