文=池田麻里子(慶應スポーツ)
小雨の中、後期無敗が続く慶應義塾大学の勢いは止まらない。前半開始早々のFKから宮地元貴がヘディングで決め、先制点を挙げる。神奈川大学も巻き返しを図りチャンスを奪いにかかるが、GK宮原隆志のファインセーブもあり、得点をゆずらない。そして75分、前節2得点をあげた山本哲平が角度のないところからシュートを決め、2-0で勝利を飾った。優勝へまた1歩近づく大きな連勝となった。
スターティングメンバーは前節同様、田中健太と山本をトップに置き4-4-2で戦う。開始早々、慶應大が試合を動かす。4分、すでに2回目となるFKを獲得。キッカー井上大のボールは、ゴール前で待っていた宮地の頭にピタリと合い、見事先制した。セットプレーが得点のカギとなっていただけに、理想どおりの得点となった。その後も田中が続けてシュートを放ち、慶應大主導の滑りだしとなる。しかし、22分、相手選手のシュートでピンチを迎える。これは、久保飛翔と井上を中心に対処するも、特に神奈川大の武田将平と鈴木翔大に警戒しながら油断ならない状況となった。その後もセットプレーやシュートのチャンスを与えてしまい、厳しい時間帯が続く。1点を守りきる形で、前半を終えた。
後半は、「相手にフリーな状態を作らせない」ために、「奥田晃也(神奈川大)にボランチを1人つけ、トップの選手が1人戻る」(須田芳正監督)ことで神奈川大に仕事をさせないよう安定を図った。神奈川大に押しこまれる場面では、守護神宮原のファインセーブが炸裂する。46分に神奈川大のFK、54分にはゴール目の前の力強いシュートを続けて抑え、得点を渡さない。また、前節中央大学戦で2得点を挙げた山本も、積極的に相手ゴールへ迫る。すると61分、慶應大にチャンスが訪れる。セカンドボールを拾うと、渡辺夏彦がサイドを駆け抜け田中へパス。シュートの跳ね返りを再び蹴りこみ、その際ペナルティーエリア内で相手のハンドを取ったように見られたが、これはPKにならず試合は続行した。
67分、渡辺に代わり松木駿之介が入り、追加点を狙う。そして75分、好調の山本が魅せた。コーナー付近から相手選手をかわしボールを奪うと、そのまま右足を振り抜く。角度のない場所から直接放たれたボールは見事ネットへ吸いこまれていき、追加点となった。「彼の個人能力」(須田監督)から生みだされた得点に歓喜の声があがった。86分に山本に代わり黄将健が、89分に田中に代わり豊川功治が入り、攻守ともに集中する。そして試合は終了。慶應大は無失点で連勝を飾った。
得点も失点も、カギはセットプレーにあることを選手全員が自覚していた。そこで生まれた今節の先制点。今後、国士舘大学や早稲田大学のような上位校との直接対決が待ち受ける慶應大では、この「セットプレー」、そして2得点目となった「個人の能力」をどれだけ発揮できるかが重要となる。早稲田大が今節同会場の第2試合で桐蔭横浜大学に引き分けたため、現在首位の国士館大と、慶應大の2校が勝ち点で並ぶ。リーグ戦も残すところあと5節。「一人ひとり優勝に向けて強い気持ちを持って」(久保)、関東リーグのトップへと突き進みたいところだ。
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