【大学サッカー/注目選手】GKからセンターバックへコンバート、早稲田大173センチの‟小兵”金澤拓真

文・写真=酒井伸

 早稲田大学のセンターバックコンビについて聞くと、「最近調子がいい2トップ(FWジャーメイン良とFW立花歩夢)のスピードを抑えていたし、身長の割にはヘディングもしっかり対応していた。今日は‟早稲田らしい”堅守速攻にやられた」と、嘆いたのは流通経済大学の中野雄二監督だ。JR東日本カップ2015第89回関東大学サッカーリーグ戦の第18節で、流経大は最後まで早稲田大の堅守を崩せず、0-1で重要な一戦を落とした。

 早稲田大の鉄壁のディフェンスを統率したのはセンターバックを務めるキャプテンの金澤拓真。19分、裏に抜けだしたジャーメインに対しては、体を預けて突破を防いだ。30分にはMF渡邉新太の強烈なシュートに体を投げだしてブロックし、その後も次々と流経大攻撃陣をシャットアウト。隙のないポジショニングや、身長の高い相手FWにも負けない体の強さなど、この試合では金澤の“強み”が光った。

 攻撃の切り札として73分に投入された流経大のMF中村慶太は、「気が利く選手なので、やっていてやりづらい。奥山(政幸)との連係が良くて、ガツガツ来る」と、マッチアップした金澤についての印象を語った。

 センターバックにしては小柄な173センチ。コンビを組む副将のDF奥山政幸も同じ身長で、高さ勝負には「開き直っている部分はある」と笑顔で語る。2年時から‟小兵コンビ”を形成している奥山の言葉からも金澤への信頼がうかがえる。「抜群のリーダーシップがあり、声を絶やさない。体を張って守備をしてくれるので、隣でプレーしていて頼もしい」

 その金澤には、中学時代に転機が訪れていた。横浜F・マリノスジュニアユースにGKとして入団したが、中学3年時に当時の尾上純一監督からセンターバックへのコンバートを言い渡される。尾上監督にコーチングなどの適性を評価され、最初はGKとの”二刀流”でスタート。気づけばセンターバックに一本化し、ここまでたどり着いた。

 金澤は流経大戦を振り返り、「これまでの3年間になかった、我慢強さや勝負強さなど自分たちの成長の証になった」と自信を見せる。金澤を中心としたDF陣は第18節終了時でリーグ最少の15失点に抑え、早稲田大は2位につける。いよいよタイトルを射程圏に捉えた。‟魂の闘将”金澤拓真がサッカー人生を懸け、19年ぶりの関東大学リーグ優勝に向けてチームを鼓舞し続ける。

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