文=河内美佳(関学スポーツ)
気持ちの隙にうまく付けこまれた。前節びわこ成蹊スポーツ大学に4-1と快勝した首位関西学院大学。引き分け、負けと続いた嫌な流れを断ちきり、優勝に向け勢いづくかと思われたが、4位大阪学院大学に1-1とドロー。勝ち点1は確保したものの2位阪南大学が勝利したため、差は6から4に縮まった。
前節とは一転、三木の地で王者が揺らいだ。前半、インカレ出場権争いを繰り広げる大阪学院大の勢いに押され、何度もチャンスを作られる。「はっきりやれ」と守備陣に主将DF井筒陸也の檄が飛ぶ。しかし修正できないまま、迎えた前半15分。CKから大阪学院大にあっさりと得点を決められた。喜ぶ大阪学院大の選手たちの横でイレブンたちは険しい表情を見せる。その後も関西学院大サッカーの代名詞であるサイド攻撃を活かしたプレーは見られず。前半のシュート数はわずか1本。終始、相手の勢いに押される展開だった。
「今日負けて次も負けた方が関学のいい部分が引き出せる」。ハーフタイム、選手に向けた成山監督の厳しい言葉がロッカールームに響き渡った。どこかで生じていた気の緩みが試合に現れていた。これまで首位をひた走ってきた関西学院大。試練はまだ続くのか。ハーフタイムを終え、監督の言葉を胸に刻みイレブンたちはピッチに立った。開始を知らせる笛が鳴る。前半とは異なり、いつもの関西学院大らしさが垣間見えるプレーが増えた。サイドを生かし、何度も攻撃を仕掛ける。64分に途中出場のMF魚里直哉が左サイドに入り足を活かしたプレーで関西学院大にチャンスを作る。代わって左サイドから中へと入ったMF小林成豪が躍動。69分、右サイドDF高尾瑠のゴール前への低めのパスに小林が倒れながらもなんとか足で押しこみ同点ゴール。勢いに乗り、やっと本来の自分たちのサッカーの形が得点となって現れた。しかしその後もゴールへの雰囲気が漂ったが、勝ちきることはできず試合は引き分けに終わった。
「今の関学には一つひとつのプレーに変な余裕がある。インカレや、入れ替えが懸かっているチームと戦うのにいらない余裕ですね」と成山監督は試合を振り返る。課題は追いこまれないと良さが引き出せないという現状。だからこそのハーフタイムの言葉だった。それは選手たちもよく分かっている。「立ちあがり、相手の気持ちに押されていて。気持ちで負けていた」と小林も振り返る。
次節は3位桃山学院大学との一戦。「気持ちと準備の部分で上回ることで、それが初めてサッカーの形になる」(成山監督)。井筒は「上位にいる分、強いチーム。でも100パーセント出せば勝てる。気持ちよく勝てる試合にしたい」と気を引き締めた。関西学院大が関西の頂点に立つには間違いなく、次節勝たなければならない。もう負けは許されない。あと残り3節。全員で目指してきた2009年以来のリーグ戦優勝へ。王者らしく、堂々と戦い、勝ちきる試合を誰もが待ち望んでいる。
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