文、写真=横山恵美(スポーツ東洋)
この夏、全国初出場への切符をつかんだ平成国際大学との一戦。それはサイドバック長谷川優希がスタメンに定着するきっかけとなった。
「大学生活が一番苦労した」。長谷川はいくら日頃の練習を積み重ねてもなかなか試合に出ることができなかった。ベンチに入ることさえできない。大学4年目の春、悔しさと苦しみが心の中で入り混じっていた。だが、彼は諦めることなく自分のベストプレーを求め続けた。そこには追い求めるものがあったから。「衝撃的だった」と長谷川は憧れの中村俊輔(横浜F・マリノス)についてほほえみながら語った。小学1年のときに見たコンフェデレーションズカップでのフランスとの一戦。この試合を見終えた長谷川は大きく奮い立たせられた。すごい選手だ、自分もこうなりたいと。これを機に中村のプレー追求が始まり、蹴り方一つひとつを真似した。のちに得意とするキックセーブや後ろからのチャンスとなるキックへと身に付く。
中村に近づくための苦労は惜しまない。練習や試合で積極的に取り入れた。1年生のときからキック一つひとつを細かく注意されてきた。そこをすぐ実践するのが長谷川だ。紅白戦や練習で得意とする相手の逆を突くプレーに特徴を磨きあげてきた。練習後はハーフコートの練習、パスのポゼッション、DFの練習を欠かさず行った。そして大学4年間をかけて手にしたのもがある。ポゼッション、パスを回すときの場所取り、判断の早さ、この3つが新たな武器となった。その実践を積み重ねた結果が、スタメン獲得へ結びつく。「サイドバックは適任かな」。周囲からクールといわれる性格は物事を客観的に見ることができる。「守備だけでなく攻撃も好き」と付け加えた長谷川はイレブンの必要不可欠なサイドバックへと成長した。
「忍耐力が付いた」。大学での4年間はプレー面での成長はもちろん彼の精神面をも大きくした。長谷川の追求心と忍耐力は守備を固め攻撃へのチャンスを築くに違いない。
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