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明治大がPK戦で順天堂大撃破、関西学院大との準決勝へ/インカレ

2015.12.14

文=谷澤優佳・渡邊弘基(明大スポーツ

 死闘を切り抜けた。平成27年度第64回全日本大学サッカー選手権大会インカレ)3回戦は順天堂大学と対峙。前半8分でDF小出悠太が先制し、主導権を握る。しかし48分、順大の同点弾で試合は均衡し、延長戦へ。FW和泉竜司主将が100分にゴールすると、110分に失点。今度はDF岸本英陣が116分に決めるも、119分にまたも同点弾を許し、PK戦へ。GK服部一輝が3人目のキッカーのシュートを弾き、最後は小出のシュートが決まり5-4で明治大が勝利。関西学院大学との準決勝へ駒を進めた。

 5人目のキッカー小出が決めた瞬間、選手たちは歓喜に満ちた。「劇的過ぎて言葉が出ない」(MF道渕諒平)。120分を戦っても決着のつかないゲームの勝敗はPK戦に委ねられ、5-4で勝利。「順大の粘りがすごかった」(道渕)と離しても追いついてくる順天堂大の猛追に最後まで苦しられたが、振りきった選手たちの顔には笑みが浮かんでいた。

 勝利を手繰り寄せたのは頼れる守護神だった。服部は順天堂大の3人目のキッカーが放った低めのシュートを完全に読みきり、指一本で弾いた。「4年生をこのゲームで引退させられなかった」(服部)。1ゲームで3失点を許したのは今シーズン初で「失点に絡んでいた分、チームを勝たせなきゃいけないという強い責任感はあった」(服部)と、3失点が闘志に火を点けた。もともとPK戦は得意としており、今シーズン中3度PK戦があったが、全てで1度は止めている。試合後も「人生でまだ数回しか負けたことが無い」(服部)と自信に満ちた顔で振り返った。守護神が得意のPK戦で勝利のお膳立てをした。

 意地が死闘を呼んだ。100分、ゴール前左で道渕からのパスを和泉が倒れこみながらダイレクトで押し込み貴重な追加点を挙げる。そのまま逃げきりを図り、和泉を下げDF牛之濱容を出して守りに入るも、110分に順天堂大がゴール。116分には岸本がCKを頭で合わせて公式戦デビュー戦で初ゴールを獲得。「見事にハマって勝利のシナリオになった」と栗田大輔監督も絶賛した得点で、会場は明治大の勝ちムードへ。しかし119分に、またしても同点弾を土壇場で許す。延長戦で計4点が動く展開に会場は揺れ動き、FW藤本佳希も「2回勝ったと思いました」と言葉をこぼした。その後PK戦でなんとか勝利を収めるも、「気持ちと気持ちのぶつかり合いがこの試合を生んだ」(道渕)。強烈な意地の勝負は明治大に軍配が上がった。

 準決勝の相手は夏の総理大臣杯決勝で優勝の座を奪われた関西学院大だ。今大会の準々決勝では流通経済大学に延長戦の末に勝利しており、自信と勢いは増している。しかし日本一へのラストチャンスを準決勝で逃すわけにはいかない。「ここまで来たら気持ち」(DF山越康平)。順天堂大が脅威の粘りを見せたように、勝利への気持ちが勝敗を大きく左右する。そしてそこには「順天堂大の思いを背負って戦っていきたい」(服部)、「いろんな人の思いを背負ってやりたい」(和泉)と戦った相手や支えてくれた仲間の思いも詰まっている。多くの人の思いを胸にインカレ制覇を目指す。

★岸本 初めてだらけの恩返し弾★
 今試合がデビュー戦となった岸本。ピッチに立って3分で決めたヘディング弾は公式戦初出場、初得点、さらにファーストタッチという初物尽くしの1点となった。得点後、駆け寄ったベンチからは「奇跡」との声も上がったが「必然です」と笑顔できっぱり。会場には岸本のお世話係であった昨年度主将の三浦龍輝(現柏レイソル)も足を運んでおり「大会前にもメールしたり常に頑張れよと言っていたので、結果を出してくれて嬉しい」と、先輩の目の前でドンピシャの恩返し弾を決めてみせた。栗田監督にも「お祭り男」と称される岸本が一発で起用に応えた。

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