鹿島では同年代の久保田和音や三竿雄斗と一緒にいることが多いという小池 [写真]=平柳麻衣
左足のキックが冴え渡った。7日に行われたJR東日本カップ2016第90回関東大学サッカーリーグ戦第6節で順天堂大学と対戦した流通経済大学は、開始4分で喫した2失点が響き、1-4で大敗。しかし、鹿島アントラーズの特別指定選手に登録されているレフティーの小池裕太は、豊富な運動量で攻守に渡って好プレーを連発し、存在感を見せつけた。
アルビレックス新潟U-18出身の小池はもともと左サイドバックを本職とし、昨季はルーキーながら流経大で早々にレギュラーを獲得。スピードを生かした攻撃参加でインパクトを残し、新人賞獲得や全日本大学選抜入りを果たすなど、瞬く間に大学サッカー界で名を馳せた。過去に数十名のJリーガーを輩出してきた名将、中野雄二監督も「左足の精度が高くていろいろなキックを持っているし、状況判断もいい」と太鼓判を押す逸材だ。
しかし、今季途中からは中野監督が「守備の厳しさを身につけること」を課題に挙げ、ボランチでの起用が続いている。初めて挑戦するポジションに、当初は「前を向いてボールを持てない状況が多いので難しい」と苦戦していた。だが、試合を重ねるごとに順応し、順天堂大戦ではピッチの至るところに顔を出して精度の高いボールを供給。後半途中からは左サイドハーフにポジションを移し、惜しくもゴールにはつながらなかったが、正確なクロスで決定機を何度も演出した。「チームは負けてしまったけど、個人的には良いプレーができたと思う。キックが武器なので、どんどんボールを受けて広い方に展開していきたい」と本人も中盤でのプレーに手応えを感じており、「選手としての幅が広がっている。これをサイドバックに戻った時に生かしたい」と今後へのイメージを膨らませている。
2日から5日にかけて鹿島の練習に参加し、「常に100パーセントでやらないと自分の持ち味を出せない」とプロの世界の厳しさを体感した。球際のプレーに関する課題は、プロ選手を相手にすることでより一層明確になった。もちろん、練習参加だけで満足する気はなく、「まだまだ自分に足りないところはあるけど、これからどんどん試合に絡めるようにがんばっていきたい」と意欲は十分。この春から大学2年生に進級したばかりの19歳だが、左サイドバックが手薄な鹿島にとっては貴重な戦力の一人であり、今後のチーム状況によっては出場機会が巡ってくることもあるだろう。引き続き予定が合えば鹿島の練習に参加し、チームの戦術理解を深めながらアピールをしていく。
偶然にも、練習参加中の4日に行われた明治安田生命J1リーグ・ファーストステージ第10節で鹿島と新潟が対戦。小池にとっては“古巣”との対戦に鹿島が2-1で勝利したことについては、「複雑な気持ちはあったけど、今は鹿島の一員なので勝って良かった」と胸中を明かした。新たな道を進む小池は、着々と課題を克服しながらプロの舞台を目指す。
文=平柳麻衣
By 平柳麻衣