文=池田敏明
写真=市川陽介、ウニベルシダ・デ・チリ
ウニベルシダ・デ・チリのホームタウンであるサンティアゴは、南北に細長いチリのちょうど中央あたりに位置する同国の首都だ。“南米”と聞くとアマゾンのジャングルやアンデスの山々といった雄大な景色をイメージする人も多いと思うが、サンティアゴは人口600万人を抱える大都市で、高層ビルがそびえ立つ地区もある。地下鉄や路線バス、他都市への長距離バスが整備されるなど交通網も発達しており、意外なほど近代的だ。
セントロ(旧市街)は中心にアルマス広場と大聖堂があり、南北に延びるアウマダ通りは歴史的な面影を残しながらもデパートやスポーツショップ、ファストフード店が並び、平日でも多くの人で賑わっている。天気が良く、空気が澄んでいればサン・クリストバルの丘から市街を一望でき、遠方にはアンデス山脈も望める。
一方、ラス・コンデス地区などの新市街には近代的なオフィスビルや集合住宅、ショッピングモールなどが立ち並んでいる。雪を頂いた山々を背景としたガラス張りの高層ビル、という風景は、サンティアゴ特有のものだ。
鹿島アントラーズOBとして現地を取材した名良橋晃さんは、旧市街でピーナッツ菓子を売る屋台のおじさんと打ち解けて談笑したり、大道芸に飛び入り参加したりと、サンティアゴの街にすぐさま順応。「この雰囲気、最高ですよね。取材とか関係なく1週間ぐらいのんびりしたいし……移住したいっす!」とサンティアゴを満喫していた。
一方、サポーター代表として今回の取材に同行した南結衣ちゃんは、ショッピングモールのあまりの広さと人の多さに驚愕。ショッピングを楽しむつもりが、15分後には「迷子になりそうなのでそろそろやめときます」。南米の意外な一面を体感した様子だった。
旧市街で多くの観光客が訪れるのが、マポチョ川のほとりにある中央市場だ。野菜や果物、薬草、肉類なども扱っているが、最大の目玉は新鮮な海産物。店員は日本人を見ると「ウニ、タラバガニ、タコ、イカ、アナゴ、アワビ、エビ、シャケ……」と日本語で説明してくれる。
一番人気はやはりウニ。日本では高級食材だが、チリでは1個あたり500ペソ(約80円、取材当時の相場とレート)で購入できる。名良橋さんと結衣ちゃん、早速その場でウニをさばいてもらい試食。結衣ちゃんは口に入れた瞬間に「新鮮でものすごくおいしい!」と感動の表情を浮かべていた。
試食で完全にスイッチが入った2人は、市場内にあるレストランに移動。皿いっぱいに盛られた生ウニと、こちらもチリの名産品である白ワインを心ゆくまで堪能した。
ちなみに、チリでは生ウニにレモンやオリーブオイル、刻んだタマネギ、コリアンダーをかけて食べるようだが、このレストランでは日本人相手には醤油とワサビを出してくれる。「ウニをたくさん食べたんで、“ウニ”ベルシダ・デ・チリに勝てますね!」と名良橋さん。チリ取材中、どこへ行っても絶“口”調だった。