2015.04.14

【ジャパンユース プーマ スーパーリーグ 2015】スーパーリーグの歩み

ジャパンユースプーマスーパーリーグの立ち上げに関わった大垣工業の大野聖吾監督「全国レベルの貴重な経験が積めるし、チーム全体の底上げにつながる」

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[写真]=兼子愼一郎

 1998年に中日本高校サッカースーパーリーグとしてスタートし、それから形を変えながら発展を続けるジャパンユースプーマスーパーリーグ。17年の歴史を誇るユース年代の大会について、発足時から関わっている大垣工業の大野聖吾監督に話を聞いた。

インタビュー=安藤隆人

――大野監督は岐阜工業高校サッカー部の監督時代に、ジャパンユースプーマスーパーリーグの前身となる、中日本スーパーリーグの立ち上げに関わっています。まず、この動きが始まったいきさつを教えてください。

大野監督 最初に関西と関東の方でスーパーリーグが立ち上がり、1年後に遅ればせながらうちも参加してみようとなったのが始まりでした。まずこの流れが起きたのは、ユース年代にリーグ戦というものがなくて、強化に必要なリーグ戦文化を定着させたいという思いがありました。そして、『高校サッカーを考える会』というものを立ち上げて、全国の指導者が議論を始めたんです。

――『高校サッカーを考える会』というのは、どのような経緯で有志が集まったのでしょうか?

大野監督 この会が生まれた大きなきっかけは、Jリーグクラブにユースチームができて、Jユースのみが参加する大会であるJユースカップの第1回開催の時、当時チェアマンだった川淵三郎氏が、「これからはJのユースの時代だ」ということを話していました。僕はそれをケーブルテレビで見ていたのですが、『このままでは高校サッカーは危機を迎える』と感じましたし、他の指導者もそう感じていたと思います。Jユースに負けない高校サッカーをどうやったら作ることができるかを、学校や地域という枠を超えて、一人ひとりが本気で考えなければならないというところから始まりました。

 今でこそ、全国各地で交流と強化を目的にしたフェスティバルが開かれていますが、最初にできたのは昭和40年代前半の藤枝フェスティバルです。それがなぜできたかというと、関西のチームが関東に行くとか、関東のチームが関西に行くとかではなく、いろんなチームが同じ場所に集まって、チャンピオンは決めないけど、1週間から10日の間で試合をしようということでした。それに追いつけ追いこせということで作ったのが、清水のフェスティバルで、そこはチャンピオンを決める形になりました。

 いろんな形で、フェスティバルを集中開催させる流れができたのですが、それは高校サッカーの指導者たちが切磋琢磨させるために作ったものです。昔の先輩たちがそのようなものを作ってきて、それをさらに発展させるべく、一回こっきりで終わらせるものではないリーグ戦があってもいいのではないかと感じました。そうした流れから、関東スーパーリーグ、関西スーパーリーグ、中日本スーパーリーグなど、全国各地に任意のリーグ戦が誕生したんです。

――そこから、一つの転換期として平成15年度に、日本サッカー協会が主催する全国9地域の公式リーグ戦である、『プリンスリーグ』ができ、多くのスーパーリーグが発展解消していく中、中日本だけは解消しませんでした。

大野監督 川淵さんと『高校サッカーを考える会』の話し合いの結果、プリンスリーグの誕生が決まりました。これでスーパーリーグはお役御免となるはずだったのに、なぜ中日本だけなくならなかったのか。それはプリンスリーグが地域リーグだったからです。北信越のチームにとっては、北信越という枠組みを出たリーグというのが、外せないというのが、星稜の河﨑護先生の考えでした。正直、『リーグ戦がオフィシャルになったのだから、もういいじゃないか』という声はありました。

 しかし、それはあくまで他の地域の声であって、河﨑先生を始め、北信越の指導者の方々にとっては、『北信越は他地域より遅れている』という強烈な危機感があり、それが存続する大きなきっかけとなりました。それに2月、3月の時点で、トップチームが地域を越えて交流することは、非常に大きなこと。プリンスリーグやインターハイ予選などに備えていく面で、非常に良い強化ができるんです。それに伴い、どんどんJユースチームも入ってくる状況になり、レベルは向上しましたね。

――河﨑監督を始め、北信越のチームの情熱があったのですね。

大野監督 はい、河﨑先生もそうですが、小阪(清吉)先生、二村(昭平)先生、長峰(俊幸)先生、渡辺(滋)先生など、北信越にとっては、北信越の中だけでやるのは、遅れているという思いがありました。実際に中日本スーパーリーグをやり始めてから、丸岡が躍進し、それに続くように富山第一も星稜も、全国で大きな結果を残していきました。

――大野監督が率いた岐阜工も、1998年度にインターハイ準優勝、2001年度に選手権準優勝に輝きました。

大野監督 中日本スーパーリーグの成果はどんどん出てきました。今振り返っても、やはり重要なリーグだと思います。僕も途中で岐阜工から大垣北を経て、大垣工業に赴任して、こうして別のチームでこのリーグに参加していますが、プーマさんなどの協力を得て、さらに発展したリーグで戦えていることは、非常に大きいと思います。

――改めてJYPSLの意義とこれからを教えてください。

大野監督 この大会によって全体のレベルの底上げにつながっていると感じます。プリンスリーグやプレミアリーグに出ていない選手を、発掘する場にもなると思いますね。

――県リーグだけでは、個を伸ばすのは難しいですよね。

大野監督 ここで全国レベルの貴重な経験が積めますし、セカンドチームも参加できることが非常に大きい。これはチーム全体の底上げにつながるし、選手たちにとってもチャンスが大きく広がっていく。こうした意義を大切にしながら、続けていきたいと思います。

<了>

平成10年

北信越5校(丸岡・星稜・富山第一・東京学館新潟・松商学園)、東海4校(岐阜工業・大垣工業・中京大中京・四日市中央工業)、近畿1校(奈良育英)の10校による『中日本高校サッカースーパーリーグ』としてスタート。 
【優勝】岐阜工業(6勝3分)

平成11年

『第2回中日本高校スーパーサッカーリーグ』開催。参加10校(平成10年度同様)
【優勝】中京大中京(6勝1敗2分)

平成12年

『第3回中日本高校スーパーサッカーリーグ』開催。
【退会】奈良育英高校(U-18関西リーグ発足の為)
【新規参入】名古屋グランパスエイトユース
☆初のクラブチーム参加の為、今年度より大会名称を『中日本ユースサッカースーパーリーグ』に変更。/参加10チーム(高校9チーム、ユース1チーム)
【優勝】富山第一(7勝1敗1分)

平成13年

『第4回中日本ユースサッカースーパーリーグ』開催。
【新規参入】ジュビロ磐田ユース/参加11チーム(高校9チーム、ユース2チーム) 
【優勝】名古屋ユース(8勝2分)

平成14年

『第5回中日本ユースサッカースーパーリーグ』開催。
【新規参入】藤枝東高校・清水エスパルスユース/参加13チーム(高校10チーム、ユース3チーム)
【優勝】磐田ユース(8勝1敗3分)

平成15年

『第6回中日本ユースサッカースーパーリーグ(U-17)』開催。
☆『U-18リーグ』の全国一斉開催に伴い、『U-17リーグ』をメインにした大会となる。
【復帰】奈良育英高校
【新規参加】近大附属高校・清水東高校/参加16チーム(高校13チーム、ユース3チーム)
【優勝】
『U-17』中京大中京(リーグ戦:5勝1敗1分 順位決定戦:2勝1分)
『U-18』星稜(リーグ戦:5勝2敗 順位決定戦:3勝)

平成16年

『第2回U-17中日本ユースサッカースーパーリーグ』開催。
※『第7回U-18中日本ユースサッカースーパーリーグ』併行開催。
【新規参入】浜名高校、草津東高校、神戸弘陵高校、京都パープルサンガユース/参加20チーム(高校16チーム、クラブ4チーム)
【優勝】
『U-17』清水ユース(リーグ戦:6勝2分 清水東との優勝決定戦に勝利)
『U-18』星稜(リーグ戦:7勝1敗)、草津東(リーグ戦:6勝1敗1分)
※優勝決定戦引き分けの為、両校優勝。

平成17年

『第3回U-17中日本ユースサッカースーパーリーグ』開催。
※『第8回U-18中日本ユースサッカースーパーリーグ』併行開催。参加20チーム(高校16チーム、クラブ4チーム:平成16年度同様)
【優勝】
『U-17』清水ユース(リーグ戦:6勝 順位決定戦:勝点6・得失+7)

平成18年

『第4回U-17中日本ユースサッカースーパーリーグ』開催。
※『第9回U-18中日本ユースサッカースーパーリーグ』併行開催。参加22チーム(高校17チーム、クラブ5チーム)
【優勝】
『U-17』磐田ユース(リーグ戦:7勝3分・2位 優勝決定トーナメント:優勝)

平成19年

『第5回U-17中日本ユースサッカースーパーリーグ』開催。
※『第10回U-18中日本ユースサッカースーパーリーグ』併行開催。参加24チーム(高校18チーム、クラブ6チーム)
【優勝】
『U-17』磐田ユース(リーグ戦:5勝1敗・1位 優勝決定トーナメント:優勝)

平成20年

『第6回U-17中日本ユースサッカースーパーリーグ』開催。
※『第11回U-18中日本ユースサッカースーパーリーグ』併行開催。参加24チーム(高校18チーム、クラブ6チーム)
【優勝】
『U-17』磐田ユース(リーグ戦:6勝1分・1位 優勝決定トーナメント:優勝)

平成21年

『第1回ジャパンユースサッカースーパーリーグ』(U-17)開催。〈名称変更〉
※『第1回ジャパンユースサッカースーパーリーグ』(U-18)併行開催。参加32チーム(高校25チーム、クラブ7チーム)
【優勝】
『U-17』滝川第二高校(リーグ戦:5勝2分・1位 優勝決定トーナメント:優勝)

平成22年

『第2回ジャパンユースサッカースーパーリーグ』開催。
【新規参入】作陽高校・浜松開誠館高校・習志野高校・川崎フロンターレ U-18
【退会】愛知FC/参加35チーム(高校28チーム、クラブ7チーム)
【優勝】
『U-17』桐光学園高校(リーグ戦:7勝1分・1位 優勝決定トーナメント:優勝)
『U-18』前橋育英高校(リーグ戦:6勝・1位 優勝決定トーナメント:優勝)

平成23年

『第3回ジャパンユースサッカースーパーリーグ』開催。参加チーム(トップリーグ36チーム・セカンドリーグ32チーム)
【優勝】
『TOP』東京ベルディユース(リーグ戦:6勝2分 優勝決定トーナメント:優勝)
『SECOND』川崎フロンターレU -18(リーグ戦:5勝1分・1位 優勝決定トーナメント:優勝)

平成24年

『第4回ジャパンユースサッカースーパーリーグ』開催。
【復帰】愛知FC U-18参加チーム(トップリーグ36チーム・セカンドリーグ31チーム)
【優勝】
『TOP』習志野高校(リーグ戦:6勝1敗・1位 優勝決定トーナメント:優勝)
『SECOND』流通経済大学付属柏高校(リーグ戦:6勝・1位 優勝決定トーナメント:優勝)

平成25年

『第5回ジャパンユースサッカースーパーリーグ』開催。
【新規参入】JFAアカデミー福島・アルビレックス新潟ユース・FC町田ゼルビアユース・國學院大學久我山高校参加チーム
(トップリーグ40チーム・セカンドリーグ34チーム)
【優勝】
『TOP』中京大学附属中京高校(リーグ戦:4勝4敗1分・4位 優勝決定トーナメント:優勝)
『SECOND』前橋育英高校(リーグ戦:6勝1分・1位 優勝決定トーナメント:優勝)

平成26年

『第6回ジャパンユースサッカースーパーリーグ』開催。
参加チーム(トップリーグ43チーム、セカンドリーグ34チーム)
【優勝】
『TOP』履正社高校(リーグ戦:7勝1負2分・1位 優勝決定トーナメント:優勝)
『SECOND』瀬戸内高校(リーグ戦:5勝3負0分・1位 優勝決定トーナメント:優勝)

平成27年

『第7回ジャパンユースサッカースーパーリーグ』開催。
参加チーム(トップリーグ43チーム、セカンドリーグ34チーム)
【優勝】
『TOP』東京ヴェルディユース(リーグ戦:8勝1負1分・1位 優勝決定トーナメント:優勝)
『SECOND』國學院久我山高校(リーグ戦:8勝0負0分・1位 優勝決定トーナメント:優勝)

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