太陽のような笑顔を絶やさず、常にチームのためにハードワークをこなす女性がいる。
湘南ベルマーレ広報、遠藤さちえさん。
彼女は女性でありながらJリーグという男社会でたくましく生き、クラブ唯一の広報としてチームを支え続けている。
広報とひとことに言っても、その仕事内容は多岐にわたる。取材対応、プレスリリースの配信はもちろん、公式サイトの制作、運営、企画に加え、新聞、雑誌、自社サイトでの執筆、メールマガジンの配信、さらには地域のコミュニティFMへの出演までこなすという。最近ではTwitterやFacebookによる配信も試みている。
活動範囲はサッカーだけにとどまらない。ソフトボールやビーチバレーなど、湘南ベルマーレのスポーツチームの広報活動はすべて彼女が行っている。聞いているだけで目が回りそうな多忙さである。時には企画書を作成して自らメディアに売り込むアプローチを行うこともあるそうだ。
「ベルマーレが大好きだから」。彼女の原動力、それは純粋に、チームへの愛だった。
遠藤――私が広報担当になって1カ月でそれまで広報をされていた先輩が営業に異動になって、一人で広報をしなければならないということになったんです。その時、現在の社長でもある眞壁に「広報はクラブのライフライン、生命線だ。それでも一人でできるか?」と言われて、それを今でも強烈に覚えてます。クラブで働くスタッフとして、クラブの生命線である広報としての「使命感」っていうのを強く持っているので、もしつらいことがあったり、誰かに何かを言われて傷つくようなことがあっても、それ以上にやらなければならないという思いが常に勝ります。サッカーに加え、ソフトボールやビーチバレーなど、湘南ベルマーレのスポーツチームの広報活動はすべて彼女が行っている
チームへの思い、仕事への思いを堂々と話す彼女の明るい笑顔の中には仕事に対する誇り、自信、使命感、責任感を備えた強い芯が垣間見えた。ハードワークであるだけでなく、チームの信頼をも左右する広報の仕事。彼女は内部と外部のかけ橋として、人一倍の強い意志を持ち、日々全力で仕事と向き合っている。
遠藤――言葉にはすごくパワーがあります。言葉の力って良いほうに転ぶこともあれば悪いほうにも転ぶこともあって、悪いほうに転んじゃうとその連鎖が大きかったりするんですよね。選手とサポーターの間に自分がいるっていうことにはすごく責任を感じていて、選手の思いを見逃さないできちんと伝えられるように、言葉にパワーがあるからこそひとつの発信にもミスがないように気をつけています。メディアに対する考えは選手それぞれだし、でもメディアの協力なくしてサポーターに伝えることは難しい。だから、自分たちがどれだけメディアに支えられているか、選手たちに伝えるっていうのも大切なんですよね。何年たっても「間に立って発信すること、人の言葉を伝えることって難しいな」と思いながらやることが大切かなと思っています。
それから、「サポーターがいてこそのクラブ」なので、見当違いのことを発信して「分かってないな」と思われないように、サポーターの方々とのコミュニケーションも大切にしています。間に立って発信する立場の私が両者の思いを知っていることは重要だと思うし、選手寄りになりすぎるとバランスが崩れてしまう。そうならないように練習場や試合会場でサポーターの皆さんと直接話すようにしています。そうやってお話させてもらうと皆さんいろいろ教えてくださるんですよ。選手、サポーター両方とのコミュニケ―ションをとりながら責任感を持って広報活動を行っています。
終始明るい笑顔で生き生きと仕事への情熱を語ってくれた遠藤さん。彼女の発するひとことひとことから誰よりもベルマーレが大好きで、この仕事が大好きで、楽しくてたまらないという思いがひしひしと伝わってきた。大好きだからこそ仕事に対する使命感と責任感を人一倍強く持ち、常に感謝の気持ちを忘れない。そして一つひとつの発信に心を込めて、愛のこもった言葉を届けてくれる。
強く優しいベルマーレの太陽は、ありったけの愛で今日もチームを輝かせる。
インタビュー・文=森岡礼佳(サッカーキング・アカデミー)
写真=赤石珠央(サッカーキング・アカデミー)
●サッカーキング・アカデミーの受講生が取材、原稿、撮影を担当しました。
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