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LCCで飛ぶアジアの戦い 第5回「美しも勝てないJ王者」

2013.04.15

文/竹田聡一郎

4月10日、「浦項スティーラース対サンフレッチェ広島」浦項スティールヤード

  

 JリーグとKリーグはどっちが強いのだろうか? アジアチャンピオンズリーグ(以下ACL)を現地取材し、その優劣を肌身で感じようというコラムの、第5回目。

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 グループリーグ敗退がけっぷちの広島イレブンが09年にアジア制覇を果たした強豪に挑む。広島にとっては絶対に落とせない一戦なのだが、肩すかしというかなんというか、少なくともスタンドはのんびりしている。
 
 たむけんに似た人が束ねているホームゴール裏のサポーターの数は300人くらいだろうか。広島サポよりちょっと多いくらいだ。警官隊の姿もないし、「旭日旗は持ち込めません」という看板もない。さらにはアウェー席とホーム席のへだたりがなく、自由に行き来できる。浦項という半島東端の田舎だからだろうか。全北-浦和で見られたピリピリ厳戒は皆無なのだ。あげくのはてにはガキんちょがアウェイ席にやってきて「うぃーあースティラース!」と叫んで逃げてゆく。それを大人が眺めてニコニコしているといった牧歌的なムードと、売店で売ってるイカだかタラの焼ける香りが漂う。
 
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 ただ、ピッチは決してそんなことはなく、スコアこそ地味だが、両チームが色の強い仕掛けをみせてくれた。

 広島に関しては「ボックス内でも決してアイデアとユーモアを失わないよなあ」といつも思う。時にはシュートでいいんじゃないか、という場面ですら洒落っ気のあるプレーを選択したりする。だから勝てないんじゃねーか、という声もあるけど、サッカーにおいて遊び心は大事だと思う。さっきのちびっこが中島浩司のフェイントをマジメな顔で真似ていた。テクニックに魅せられるのは万国共通なのである。

 ただ、この日はビルドアップに苦戦していたようで、最前線のエースが孤独を味わっていた。後半になって入った高萩洋次郎のアクションでゲームは動き始める。しかし、高萩という選手はこの2シーズンくらいでいい意味でのふてぶてしさ、さらに今季は風格まで身についてきたようだ。ザッケローニさんは興味ないのだろうか。

 さて、試合は61分にはよく練られたセットプレーから石原直樹がスコア。が、66分にはそれまで若島津健くらい止めまくっていた西川周作も66分ファン・ジンソンに同点ゴールを許してしまい、最終的には1-1のドロー。勝ち点1しか獲得できず、J王者としては7年ぶりの予選敗退が決まってしまった。

 さて、これでアウェー4試合は1勝1敗2分け。アウェーで得点11失点6。成績自体は悪くないし、レイソルのおかげで得失点差こそ上回っているが、日本のホームを持ち出されると「JはKより強い!」とは言いにくい。

 とはいえ、4試合を観て僕は強く感じたことはあった。というのは、次回の総括で書きます。

 とりあえず、4試合観戦旅は終了だ。どれも見応えのあるゲームで、どの会場でもサポーターのみなさんは、それぞれJクラブへの愛が溢れていてなんだか僕が嬉しくなった。はるばる半島までかけつけた偉大な4チームのサポーターのみなさま、お疲れさまでした。カムサハムニダ。

●「JK戦争2013」バックナンバー
LCCで飛ぶアジアの戦い 第1回
LCCで飛ぶアジアの戦い 第2回
LCCで飛ぶアジアの戦い 第3回
LCCで飛ぶアジアの戦い 第4回

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著者/竹田聡一郎(たけだ そういちろう)
1979年神奈川県生まれ。同い年の小野伸二にヒールで股抜きされたことを妙な自慢としながら、フリーランスのスポーツライターとして活動。戦術やシステムを度外視した「アンチフットボールジャーナリズム宣言」をして以来、執筆依頼が激減したのが近年の悩み。著書に蹴球麦酒偏愛清貧紀行『BBB』(ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅/講談社文庫)と、スルガ銀行のサッカーweb「I Dream」で連載中のコラムを書籍化した『日々是蹴球』(講談社)がある。
twitter:@takedasoichiro

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