[サムライサッカーキング6月号 掲載]
5月11日に発売されたサムライサッカーキング6月号の中で、中村憲剛が日本代表選手たちの素顔を語ってくれた。年齢的にもお兄さん的な視点から見る代表選手とは!?
インタビュー・文=岩本義弘
写真=新井賢一
■本田圭佑について
「一番のストロングポイントは志というか、メンタルですね。とにかく、メンタルが強い。アイツ、結構しゃべりますからね。僕よりも年下ですが、自分を持っていますし、真っ直ぐですね。自分の道に対してブレないです。いろいろなものを吸収して微調整をしてるんだと思いますが、結局、見ているところは変わらないからそこに向かって努力ができます。僕も似てる部分があるので、親近感が湧きますね。最近はほとんど一緒のチームでプレーできてないんですが、圭佑とは共存できると思ってます。トップ下同士ですが、邪魔し合わないというか、逆にお互いのやりたいことを感じることができるので気を遣えるんです」
■香川真司について
「マンUを変えようとしている男ですからね。シンジを(アレックス)ファーガソンが選んだということですから、すごい価値のあることですよ。18歳の時から知っていますから、本当に大きくなったと思います。って、シンジに関してはお兄ちゃんみたいな感覚になっちゃいますね(笑)。プレー面に関しては、シンジは言わなくてもやりたいことが分かるので、むしろ、何も意識していないです。彼がやりやすいようにと思っています。僕がトップ下にいて彼が左サイドにいても、上手く入って来られるようにポジションをずらしたりとか、やろうと思わなくても自然とできるんです。お互いがお互いを見ながらやっていますからね」
■岡崎慎司について
「みんなが言うようにいじられキャラです。本当にオカちゃんはオカちゃんで、分け隔てなくいじっています。ヤットさんと今ちゃん(今野泰幸)とオカちゃんはいつも一緒にご飯を食べていますから、見ていて面白いです。常に3人で何かしらやっていますからね。とにかくオカちゃんは走れます。惜しむことなく走ることができる男です。代表で点が取れて、クラブで点が取れないのは、彼を分かっているか、分かっていないかの違いです。一つでも実績を作れば、たくさんボールが来ると思います。動き出しの良さはピカイチですからね」
■今野泰幸について
「今の代表になってから、今ちゃんはいじられなくなったんですよ。だから、ちょっと伸び伸びしてるなと(笑)。僕はすごく好きな選手で、ディフェンスラインでもパスの大事さをよく分かっているので、同じチームにいてくれたらいいと思います。(ずっとライバルクラブでやってきて)かなり激しいプレーで削ってくるので、『コイツは本当に嫌なヤツなんだろうな』と思っていましたが、話してみたら、すごく良いヤツでした(笑)。サッカー選手に向いてないんじゃないか、というくらい性格が良いですよ」
■前田遼一について
「一つ下で大人しいですが、自分をしっかり持っています。遼一は侍ですよ。寡黙な仕事人、という感じですね。(すごい量のご飯を食べるんですよね?)ヤバいです。『まだ食べてんの?』って感じです(笑)。年が近くて出身も東京なので、仲良くしてますよ」
■遠藤保仁について
「あのままですね。一番年上ですが、飄々としていて、居心地が良さそうというか、自分がやりやすいようにやっているんだと思います。実はヤットさんとは緊張してあまりしゃべれないんです。自分が代表に入るずっと前から代表で活躍していた選手だし、衝撃を受けた選手でしたから。一つしか歳は変わりませんが、キャリアの差を感じましたからね。だから、今でも若干、緊張してます(笑)」
■川島永嗣について
「エイジはフロンターレでも一緒でしたし、同志という感じです。お互いベンチの時もありましたしね。エイジはW杯に出場して活躍しましたが、全然変わりません。自分を持っていて、常に前を向いています。へこたれたところをあまり見たことがないですね。芯が強いんですよ」
写真=Getty Images
■内田篤人について
「可愛かったんですが、いつの間にか生意気になりましたね。でも、踏み込んじゃいけないラインを分かっているんですよ。こっちも分かっているから憎めないんですよね。『ケンちゃん、じじい』とか言われますよ。『おい、先輩だろ』と言い返すのが一つの流れです。でも、リスペクトをしてくれているんだと思います。弟みたいで可愛いですし、子供っぽくて大人なんです。どうやったらああいう子が育つんですかね?」
■吉田麻也について
「かなり年下ですが、サッカー観も似ていますし、よく話しますね。彼も人懐っこいですね。でも、あの風貌ですから、あまり年の差を感じませんね。自分をしっかり持っています。サウサンプトンでも上手くやっていると思います。英語もしゃべれますからね」
■長友佑都について
「佑都も入ってきた頃から知ってますが、本当に大きくなったと感じますね。代表に入ってきた時も、決してサッカーは上手くなかったですけど、走れるし、強いんです。佑都には本当にたくさんアドバイスをしましたね。細かいことも含めて、どんどん質問してくるんですよ。いまやインテルの一員なのに、いまだに話してくれますもん(笑)。すごく成長しましたが、それを鼻にかける人間ではないので、付き合っていて気持ち良いですし、言いがいがありますね。吸収力が抜群ですし、それが一番の武器かもしれないです」
■長谷部誠について
「キャプテンは……真面目です。昔はもう少し遊びがあったような気がするんですけどね。今はそういう目で見られているから、ビシッとしているのかも。エイジと2人でチームを引っ張っていますし、頼もしく見ています。もともと、練習もしっかりやるタイプですし、向いていると思います。最近は若い選手によくいじられてますけどね(笑)」
■清武弘嗣について
「キヨは、マヤよりも若いんですよね。若手といってもニュルンベルクでは核となっていて、自信をつけていると感じます。キヨも真面目で好青年だし、すごくいいヤツなんですよ。僕と10歳ぐらい離れていますが、お互いの子供の話をしたりしますね」
■乾貴士について
「タカシは子供ですね(笑)。でも、以前は感情の起伏が激しかったんですが、ドイツに行ってから落ち着いたというか、タフになったと感じます。前に代表であった時はヤンチャでしたが、今はチームの左サイドハーフのポジションを確立していますし、カットインしてシュートという型も自分のものにしてます。フランクフルトで中心選手としてやっているので、自信がみなぎっていると感じますね。シンジとタカシのボールの持っていき方は本当に上手いです。見ていて、『うわっ』って思うこともあるくらいですから。でも、そうかと思えば、簡単なシュートを外したりもしますし、そのバランスの悪さも魅力じゃないですかね。って、こんなこと言ったら怒られちゃいますね(笑)」
■細貝萌について
「ハジは中核のポジションです。ムードメーカーというか、上とも下とも絡むことができますし、チームを上手く循環させていると思います。なかなか試合には出られませんが、ベンチメンバーとしてもチームを盛り上げてくれていますし、練習もしっかりやってくれています。若いのにしっかりしていますよ」