絶好調のマインツ岡崎、EL出場をかけた大一番でゴールなるか

岡崎慎司

写真●Bongarts/Getty Images

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写真●Bongarts/Getty Images

 ヨーロッパリーグ出場権をかけた争いが熾烈を極める中、第33節についに直接対決が実現する。ブンデスリーガも残り2節。3日に、6位のボルシアMGと7位のマインツが激突する。勝ち点2差で迎える対戦は、EL出場のかかったまさに運命の一戦だ。

 優位なのは、ホームで戦えるボルシアMGか。マインツに勝ち点では迫られているものの、得失点差では17ゴール差をつけている。今シーズンはドイツ・カップ決勝にリーグ王者のバイエルンと2位のドルトムントが進出したため、カップ王者のEL出場権は7位に与えられる。ボルシアMGは今節でドローに持ち込めれば、EL出場が確定する。

一方、7位のマインツは何としても敗戦は避けたい。8位のアウクスブルクが勝ち点4差に迫っているため、敗れれば一気に勝ち点1差まで詰め寄られる可能性がある。勝利すれば、クラブ史上3度目のEL出場が手中にできるだけに、何とか勝ち点3が欲しいところだ。

 白星を望むマインツでは、エースの日本代表FW岡崎慎司が頼もしい。最終盤でEL出場権争いが激化する中、直近2試合で3ゴールと絶好調。前節のニュルンベルク戦での先制ゴールで、今シーズンの得点数を14ゴールまで伸ばし、欧州主要リーグにおける1シーズンでの日本人最多得点記録も更新した。「残り2試合、チームのためにゴールを決めたい」と語る岡崎自身、EL出場権に並々ならぬ闘志を燃やす。

「ヨーロッパリーグがひとつのモチベーションというのはあるし、サポーターも期待していると思う」

 結果がそのままEL出場権に影響を及ぼす一戦だが、両クラブはバックグラウンドも魅力的だ。片やブンデスリーガ優勝5回を誇り、1970 年代にはUEFAカップ(ELの前身)を2度獲得したドイツを代表する名門。一方、人口約20万人の都市に本拠地を置きながら、流動的なサッカーで躍進を続ける地方の星。選手の意地とプライドやクラブの伝統、サポーターの期待がぶつかり合う戦いは必見だ。

 また、今節は残留争いでも注目の戦いが組まれている。日本代表のMF長谷部誠とMF清武弘嗣の所属する17位のニュルンベルクは、日本代表DF酒井宏樹の所属する13位のハノーファーをホームに迎える。

 自動降格圏に沈むニュルンベルクは5連敗中で、残留圏となる15位のシュトゥットガルトとは勝ち点6差で得失点差は17ゴール差。清武が「もう崖っぷち」というように、残り2連勝でもシュトゥットガルトが勝ち点1でも積み上げれば、自動残留の可能性はなくなるという厳しい状況となっている。一方で、2 部との残留・昇格プレーオフに回る16位のハンブルガーSVとは勝ち点1差と、残留への道はまだまだ閉ざされていない。

 残り2試合での勝ち点獲得のために必要なものは、「気持ちだと思う」とは清武。攻撃のキーマンだけに重圧は多大だが、「守備も攻撃も走ってやるしかない」と決意を明かす。酒井宏樹との日本人対決で、残留への望みを繋ぐのか、引導を渡されてしまうのかに注目が集まる。

 そして、残留争いの渦中で、ドイツ中から関心が寄せられるチームがもう1つ。1963年のブンデスリーガ創立以降、唯一降格経験のないハンブルガーSV である。現在は16位で、残留圏の15位シュトゥットガルトとは勝ち点5差。自動降格圏内の17位のニュルンベルクとは勝ち点1差に迫られ、降格危機に陥っている。

 加えて、今節で相対するのは最速優勝を達成した王者のバイエルンということもあり、残留への道は険しい。しかし、バイエルンは無敗のまま優勝を決めた第 27節以降は、2勝1分け2敗と一気に調子を崩した。連覇を狙ったチャンピオンズリーグでも、準決勝でレアル・マドリードに2試合合計0-5と大敗を喫している。優勝決定まで見せつけてきた圧倒的な強さは影を潜めているだけに、つけ入る隙はありそうだ。チャンピオンズリーグ制覇の経験のある名門の意地をかけ、クラブの誇りと伝統を守れるかにドイツ中が注視している。

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