Bongarts/Getty Images
写真●Bongarts/Getty Images
ブンデスリーガも、ついに最終節を残すのみとなった。
今シーズンはジョゼップ・グアルディオラ監督を迎えたバイエルンが、圧巻の強さを見せつけた。新指揮官は、3冠王者にスペイン風のスパイスを追加。世界を席巻したバルセロナ流のポゼッションを移植させると、従来の力強さに華麗さが加わり、文字通り他を圧倒した。序盤から無敗の快進撃を続けると、3月中に史上最速優勝を決めるまで一気に突っ走った。
終盤は黒星も喫したが、衝撃的だった完全無欠のサッカーは色褪せない。10日の最終節では、DF酒井高徳の所属するシュトゥットガルトとホームで対戦。記録尽くめのリーグ戦を締めくくり、ドルトムントと激突する17日のドイツカップ決勝に向けて、弾みをつけられるかが注目される。
8人の日本人選手では、マインツのFW岡崎慎司が大きな飛躍を遂げた。新天地に戦いの場を移すと、途中から1トップに固定されて得点を量産。14ゴールを挙げ、欧州主要リーグにおける1シーズンの日本人最多得点記録を更新した。
最終節は残留争いの渦中にある17位ハンブルガーSVをホームに迎えるが、勝利でヨーロッパリーグ出場権が手に入る。「今シーズンは苦しかったけど、チームや監督がチャンスを与えてくれたことが大きい」と振り返ったように、クラブ史上3度目のEL出場をもたらして期待に応えたいという思いも強いのではないか。岡崎はゴールを「生き残るために取ってきた」と表現するが、今シーズンはまさに得点で道を切り拓いてきた。マインツのクラブ得点記録は、現在チェルシーに所属するFWアンドレ・シュールレの持つ15ゴール。岡崎自身の最多得点は、今シーズンと清水時代だった2009年の14ゴール。名実ともにチームのエースとなったドイツ4シーズン目で、マインツのクラブ記録と自身のキャリアハイを一気に塗り替える活躍が期待される。
そして、欧州カップ戦出場権争いと残留争いにも、終止符が打たれる。ともに熾烈な戦いが展開されたが、最後の最後に3位のシャルケと17位のニュルンベルクが激突するガチンコ対決が組まれた。シャルケは引き分け以上で、チャンピオンズリーグ本戦出場権が決定。一方、自動降格圏のニュルンベルクは、プレーオフでの残留に一縷の望みをかける。残留・昇格プレーオフに出場できる16位のハンブルガーSVとは、勝ち点1差。得失点差で大きな差があるため、逆転でのプレーオフ出場は、勝利した上でハンブルガーSVの結果次第と厳しい条件となっている。
泣いても笑っても、最後の1試合となった今シーズン。生身の人間が作り出す歓喜と絶望のドラマは、残す90分でも二転三転するはず。最後の瞬間まで繰り広げられる激闘を、しっかりと目に焼き付けたい。