なんでもベストイレブンは、この世にあるありとあらゆるものの最強の11人(ときに人間ではなくモノも)を選び、サッカー風に語る実にくだらない企画であります。「こんなベストイレブンをやってほしい」とのリクエストは、コメント欄にいただけると幸いです。
第一回 野球ベストイレブン
文・すずき
世はW杯でサッカー一色………ってこともなく、野球も絶賛営業中である(当たり前)。
今回のW杯は時間的に野球との共存が比較的容易で、仕事を終えたらプロ野球、仮眠、W杯、MLBという順番でバンバン見れる。1か月くらい寝なくたって、人間死なないものである。むしろちょっとやつれた結果、顔つきが精悍になってモテるかもしれない。ま、ずっとテレビの前じゃ出会いも何もないんだけどね。
さて、『サッカーキング』編集部より依頼があった。「W杯なんで、野球選手でベストイレブン考えてくださいよー」。言葉の意味は分かるけど、それをやる意義はさっぱり分からない。でも祭は乗っかるもので、そこで抗弁するのは粋じゃないよね、ってことです。
以下が野球選手で作るベストイレブンである。特に信念があるわけじゃなく、テキトーに挙げただけなので、異論反論はあっても飲み込んで、クレームはご勘弁いただきたい。

FW/田中将大・ダルビッシュ有・イチロー
MF/中田翔
MF/鳥谷敬・KAWASAKI
DF/内川聖一・阿部慎之助・井端弘和・坂本勇人
GK/大谷翔平
イチロー(ヤンキース)

野球界ではラインナップで最初に名前を呼ばれるのはイチローと決まっている。というわけで、一番・右翼・イチロー。そう、右ウイングは右翼。本人が了承してるからってイチローにレフトやセンター、果ては代走をやらせるヤンキースは侮辱罪で告訴したい。しなやかな動きと華麗なバットコントロール技術でチャンスメーカーとして大活躍してくれるはず。スタンドには「イチ・メーター」も登場。1試合200ボールタッチを目指すのだ。
ダルビッシュ有(レンジャーズ)

とにかくとんでもない才能なのである。サッカーで最も重要なのは、何だかんだ言って点を取る選手であるセンターフォワードで、そこにトッププレーヤーを置くのは当然のこと。得点源として、チームリーダーとして、Twitterでチームの情報を発信する炎上係として、中4日でフル回転していただきたい。
田中将大(ヤンキース)

「神の子」と言えばマラドーナかメッシ。それはあくまでサッカー界での話。ノムさんは言った。「マー君、神の子、不思議な子」。というわけでマー君である。メジャー1年目でバンバン勝ってる、世界に通用する才能だ。まあストレートは割と打たれててツーシーム一辺倒の試合が多いけど、それでも勝ってるから正義なのである。香川真司みたいに10番を背負った攻撃の核として、里田まいの愛情メシをモリモリ食べてガンガン活躍してほしい。
中田翔(日本ハム)

トップ下の選手に必要な要素を一つだけ選ぶとしたら、パスセンスでも決定力でもなく、相手に与える威圧感である。その点で言えば翔さんが適任。3打席連続三振しても、最後の勝負どころで一発キメてくれればいいんです。ワルぶってるけど邪気のない感じ、一見怖いけど面倒見のいい先輩っぽい感じはフランチェスコ・トッティに相通ずる。
KAWASAKI(ブルージェイズ)

鋭い動きで中盤でボールを拾い、的確なポジショニングとパスで守備陣と攻撃陣のリンク役になる。格上の相手と対戦する時、小技足技でかき回して打開のポイントを作り出すのもKAWASAKIの役割。ムードメーカーとしても抜群に有能だ。敬愛するイチローさんと同サイドで起用することでさらに頑張ってくれるはず。コクのあるイニエスタって感じか(適当)。
鳥谷敬(阪神)

試合の流れを的確に読みつつ、目立たない仕事を淡々とこなし、攻守両面での安心確実な働きぶりで中盤を支える日本代表ボランチといえば、はい長谷部誠でしめ。そんな仕事ぶりができるのはタイガースのキャプテン、鳥谷ぐらいだろう。運動量が若干足りないかもしれないが、長谷部よりも頑丈で、過密日程でもフルイニング出場をこなせるのは強み。
坂本勇人(巨人)

馬鹿みたいなことを言うけど、サッカー界に内田篤人がいるなら、野球界には坂本勇人がいる。単純にルックスがイケてる選手はたくさんいるけど、セルフプロデュース能力に長けていないと、国を代表するイケメン枠には入れない。その点、内田も坂本もズバ抜けてるんだよね。カワイイ系の顔立ちとは裏腹に、プレーに懸ける思いがアツいのも共通点。2人とも女性の扱いがあまりよろしくないであろうと想像してしまうのは、プロフェッショナリズムの裏返しか。
阿部慎之助(巨人)

見るからにキャッチャーっぽい人は、サッカーならセンターバックだ。これは偏見ではなく事実である。キャプテン翼が野球マンガだったら、きっと次藤くんがキャッチャーだもの。阿部は次藤くんなんかと比較にならない逸材である。全体を俯瞰で見る視野と、すべての状況を把握して瞬時に適切な判断を下すインテリジェンスを備え、ビシバシと指示を出してチームを引き締められる存在だ(たるんでるヤツがいたらパンチ)。足は遅いけど、パワー勝負だったらドログバにだって負けないぜ。
井端弘和(巨人)

センターバックは一方が剛ならもう一方は柔と決まっている。阿部が強烈なマンマーカーだとしたら、カバーリング能力に長けたタイプ、井端をチョイスしたい。危険を事前に察知したポジショニングから鋭い出足でボールを奪う守備職人だ。荒木雅博と組ませて「アライバ」コンビ復活も考えたけど、それだとドログバに勝てないので却下。地味な守備職人だが、勝負どころでは得意の右打ちが炸裂。起死回生の同点打を放って日本中を興奮させたりする。
内川聖一(ソフトバンク)

長友佑都を見れば分かるとおり、いまやサイドバックはただ走ってりゃいいポジションではない。試合の流れを読み、攻めどころと我慢のしどころを適切に判断する必要があるし、テクニックだって求められる。何でもこなせる万能性を持ちながら、試合を決める大仕事もできる内川は、その高い要求をクリアできる存在。バットを折られようがドン詰まりだろうが、しぶとくヒットを放つ執着心の持ち主だ。
特に意味はないんだけど、大谷くんは何となく入れておかなきゃいけない気がしたのでGKにしておいた。大谷くんと言えば両刀使い、じゃなくて二刀流。守護神をやりつつ、FKも蹴っちゃうホセ・チラベルトみたいな感じでいいんじゃないかな(適当)。
ちなみに何かあったときのためにサポートメンバーも選んでおきたい。
【サポートメンバー5人】
・前田健太(広島):国内最強ストライカー
・中村紀洋(DeNA):もうサッカーに転向しよう!
・浅尾拓也(中日):第2のイケメン枠
・高橋由伸(巨人):代打の切り札(スーパーサブ)
・ODA(中日):天下無双のヤジ将軍
次回のなんでもベストイレブンはアイドルベストイレブンをお届けする。