新シーズンへの意気込みを語った内田
[ワールドサッカーキング1409号掲載]
コートジボワール、ギリシャ、コロンビアを相手に、結果を残せなかった日本代表の中で、一人気を吐いた内田篤人。感じた世界との差とは? 4年後に向けた思いとは?
インタビュー・文=田中亮平 写真=鷹羽康博
歴史を重ねてこそ“答え”が見えてくる
――ブラジル・ワールドカップ(W杯)を振り返って、今はどんな思いを抱いていますか?
内田 もちろん悔しい気持ちはあります。でも勝負の世界だから勝ち負けはある。結局、結果がすべてだということだと思います。
――ご自身は3戦フル出場を果たしました。
内田 シャルケで良いトレーニングと試合を経験できていたので、ある程度やれると思っていました。普段の対戦相手やシャルケのチームメートのことを考えれば、W杯がそんなにかけ離れた世界だとは思っていません。
――では、日本代表と世界の差は何だったのでしょうか?
内田 シャルケの設立は1904年です。もう歴史が違う。それに追いついて、追い抜こうとするには時間が掛かる。自分たちの世代でそれを達成できなかったのは悔しいですけど、まずは少しでも差を縮めて、追いついていくことが今後の目標だと思います。
――日本代表の選手からは「自分たちのサッカー」という言葉が多く聞かれました。
内田 僕は「普段通りのサッカー」でいいと思うんです。プレースタイルがあるのはいい。スペインのようなパス回しとか、アフリカ勢のように前線に体の大きな選手がいるとか。でも、何と言うか……今の日本は、他の国のようにできないからパス回しを選択しているような気がするんです。(元日本代表監督の)岡田(武史)さんや(イビチャ)オシムさんの下で「自分たちのサッカーって何だろう」、「日本って何だろう」って考え始めたのはすごくいいと思います。でも、「スペインが優勝したから、じゃあスペインのようなパスサッカーで」というのは違う。
――安易に流れるのは良くないと。では、答えはどこにあるのでしょう?
内田 簡単には出ないと思います。やっぱり歴史が違うから。ブンデスリーガを見ても、お客さんの熱も、数も全然違いますし。現状、その差は仕方ないんじゃないですか。実際、僕もピッチで状況を変えたくても変えられなかった。一人で打破できる選手がいないんですから、レベルとして日本はまだそういう国なんだと思います。
――日本サッカーとしての歴史を重ねていく中で、答えは自然に出てくるものだと?
内田 そうじゃないですかね。今は技術に長けた選手が多いから技術を武器にしていますが、大きい選手が出てきたらパワープレーも必要なんじゃないかと思います。
――一方で、ドイツ代表は躍進しました。その強さの秘訣は?
内田 ユース世代からとんでもない選手がどんどん出てくる。ユリアン(ドラクスラー)もそうだし、(マリオ)ゲッツェもそう。各国のトップチームから誘いが来るような選手が出てきて、チーム内に競争があるっていうのが強い国の条件だと思います。
――それでは、新シーズンに向けて抱負を聞かせてください。
内田 まずはチャンピオンズリーグで少しでも上に行くこと。W杯でドイツが結果を出して盛り上がっていくと思うので、ブンデスリーガでも負けないようにしたいですね。
――4年後に向けてはいかがでしょう? 代表引退を示唆する発言もありましたが……。
内田 W杯前から、「終わったら考える」ということを代理人と約束していました。自分の中でも考えながら続けてしまっていた部分があったので、あの場でパッと言ってしまえば、もしやるとなった時に4年間最後までやり切る、自分を追い込むきっかけになると思ったんです。発言が広がることは分かっていましたけど、自分を追い込むための良い状況かなって。
――では、現時点で4年後を見据えていると?
内田 いや、代表は呼んでもらって初めて……という感じなので。新しい監督が決まって、9月に試合がありますよね? その時に答えが出れば出したいと思います。