<<enter caption here>> on September 12, 2014 in Collecchio, Italy.
また一人、セリエAのイタリア人会長が消えることになった。1990年代の中盤から後半にかけて欧州レベルで闘ったパルマだ。
日本人にとっては、元日本代表の中田英寿氏がプレーしたチームとして馴染みがある。2007年に会長に就任していたトンマーゾ・ギラルディ氏が、クラブの譲渡をロベルト・ドナドーニ監督や選手、スタッフに知らせたのは7日のホームでのラツィオ戦前で、突然の出来事に選手たちはただ驚くしかなかったという。
金銭面での問題を抱えていたのは明らかだった。UEFA(欧州サッカー連盟)から個人所得税の支払い遅延を指摘されていた。クラブの借金は700万ユーロ(約10億5000万円)と言われ、これを新しいオーナーとなるロシア国籍の実業家(名前はまだ公表されていない)が肩代わりすることになっている。クラブ自体は5000万ユーロ(約75億円)で売却となるといわれており、今週中にも正式な書類にサインがされる。
ラツィオ戦には新会長に代わって、一切の手続きをしているファビオ・ジョルダーノ弁護士がスタンド観戦していた。同弁護士は新体制のクラブで副会長に収まるという。また新オーナーはロシア人だが、キプロス島で石油科学系の会社を経営しているそうだ。
これでセリエAのイタリア人ではない会長は、インテルのエリック・トヒル会長(インドネシア)、ローマのジェームズ・パロッタ会長(イタリア系アメリカ人)に続いて3人目となる。セリエBボローニャのジョー・タコピナ会長もアメリカ国籍だ。そして新たにロシア勢力が入ってくる。イングランドではチェルシー、アーセナルが、フランスではモナコがロシア人オーナーで、中東系のオーナーと新興勢力を二分していると言ってもいいだろう。
パルマといえば中田氏だけではない。元イタリア代表FWジャンフランコ・ゾラ、2006年ドイツ・ワールドカップのアッズーリ主将のファビオ・カンナヴァーロがプレーし、GKジャンルイジ・ブッフォンがセリエAデビューを果たしたチームだ。カリスト・タンツィ会長の時代の95年と99年には、UEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)を制覇した。そのパルマがロシア人の手に渡るのだ。
偏見を持っているわけではないが、やはりイタリア人でない人物がセリエのクラブのトップに立つのは寂しいと感じる。サポーターたちはどんな想いで今回の譲渡を見ているのだろうか。
現在、勝ち点6で最下位(※編集部注:9日には選手への給与遅配で勝点1を減点され、5となった)と2007-08以来のB降格の可能性が高いパルマにとって、新会長のミッションはA残留だろう。そのためには1月の冬のメルカートで選手補強し、チーム力を高める必要がある。多額の資金投資も視野に入れてクラブを買い取ったはずだ。どうチームとクラブの財政状況を立て直すか、新会長にかかる責任は重い。