文●アルビレックス新潟バルセロナ:門野聖流
世界屈指の観光都市バルセロナ。建築家アントニ・ガウディの遺産サグラダファミリアを筆頭に数々の世界遺産を有するこの街には、サッカー先進国と呼ばれるにふさわしい環境と文化があった。
アントニ・ガウディの遺作サグラダファミリア。2026年には完成予定という説も
バルセロナに来て3ヵ月、私の中の“サッカー”が変わった。
7歳からサッカーをはじめ、大学までずっと日本でサッカーを続けてきた私は日本のサッカーしか知らなかったのだ。初めてそれを実感したのはプレシーズンの練習試合だった。相手は私たちと同じカテゴリーのチーム。技術的な面では大して差はない。しかし明らかに彼らが優れていた、サッカーを知っているという点で。
ペナルティエリアからサイドラインの距離は約2メートル。グラウンドに合わせた戦い方をしなければならない
彼らがなぜサッカーをよく知っているのか。答えは彼らが育ってきた環境とこの国の文化にある。バルセロナには街のそこら中にバルがあり、そこでは常にといっても良いほど頻繁にサッカーの試合が放送されているのだ。おじいさんがビールを片手に険しい目つきで画面を見つめていたり、ちびっこがユニフォームを着て騒いでいたり、老若男女問わず人々の生活の一部としてサッカーが溶け込んでいる。それほど身近なものなのである。
クラシコの日のとあるバル。店内に入りきれず窓の外からテレビをのぞく人々も
バルセロナのスポーツニュースはサッカーについての報道だらけ
また、この環境下において競技人口が多いのは言うまでもない。小学生からプロまでレベルごとに分けられたそれぞれのカテゴリーで毎週末リーグ戦をこなしていく。そしてそのチーム数、グラウンドの数も驚くほど多い。
カテゴリーごとに分かれて練習をするちびっこたち
この街のような光景が世界中で見られるようになったとき、そこにはどんなサッカーの未来があるのだろうか。