Germany with world cup (L-R) Miroslav Klose of Germany, Kevin Grosskreutz of Germany, Lukas Podolski of Germany, Philipp Lahm of Germany, Matthias Ginter of Germany, coach Joachim Low of Germany during the final of the FIFA World Cup 2014 on July 13, 2014 at the Maracana stadium in Rio de Janeiro, Brazil.(Photo by VI Images via Getty Images)
2006年ドイツ・ワールドカップ準決勝進出を懸け、アルゼンチン代表と対戦したドイツ代表のGKイェンス・レーマンは、PK戦が行われる前に相手の“クセ”が記されたメモをスタッフから渡されていた。
それから8年が経過した今年7月13日、ブラジルW杯の決勝が開催されたリオのスタジアムへ向かうチームバスの中で、ドイツ代表MFマリオ・ゲッツェがスマートフォンのアプリを使用し、試合への準備を行っていたという。
大衆紙『ビルト』が明かしたところによると、そのアプリには奇しくも8年前と同じ対戦相手であるアルゼンチン代表各選手のデータが膨大に記録されていたという。これまでどのような走行コースを取ってきたか、またアルゼンチン代表GKセルヒオ・ロメロが得意とするセービングはどのあたりかなど、ありとあらゆる情報が管理されていたのだ。
このアプリはドイツ代表チームマネージャーのオリバー・ビアホフ氏が同W杯開幕の数週間前、ドイツの大手ソフトウェア会社『SAP』に協力を依頼し開発されたシステムで、その名は『Match Insights』。同国代表選手の多くはこれを利用し、決勝トーナメント以降、対アルジェリア、対ブラジル、対アルゼンチンなどで多くの利益をもたらしてくれた。
ビアホフ氏は先日、再びSAP社の協力のもとこのアプリを強化し、2016年欧州選手権にも役立てる考えがあることを明らかにしている。その席で同氏は「このアプリ『Match Insights』は、ワールドカップのタイトル獲得に多大な貢献をしてくれた。我々が技術革新の面でポテンシャルを持っていることがより確かになったね。次回の欧州選手権でも、我々には大きなアドバンテージがある。来年も、このような技術分野においても各国の先を行く存在として前進していきたい」と誇らしげに話した。
『Match Insights』は、スタジアムに設置された8つのカメラを用い、ピッチ上で起こっている様々な事柄をデータ化して送信。そして収集された情報を“どんなに遅くとも”10分以内にはスマートフォンで閲覧可能となるアプリケーションで、GKマヌエル・ノイアーや、途中出場から決定的な働きをしたMFアンドレ・シュールレなども、本大会の試合ハーフタイム中に目を通すことを忘れなかったという。
また、元ドイツ代表DFフィリップ・ラームの後を継いで新キャプテンとなったMFバスティアン・シュヴァインシュタイガーも、『Match Insights』について「僕らはブラジル代表の弱点をあのアプリを通じて知りつくしていた」と、その恩恵の大きさを語っている。
今日では多くのチームが、大会を勝ち抜くためテクノロジーを駆使している。しかし24年ぶりの戴冠に輝いたドイツ代表は、その分野でもやはり世界ナンバーワンだったのかもしれない。