MF細貝萌とMF原口元気がプレーするヘルタ・ベルリン所属のコートジボワール代表FWサロモン・カルーは12月上旬、今シーズン前半戦の終盤になり出場機会を減らされていることについて「僕のような選手はもっとうまく活かすべき」とメディアに話し、チームから罰金を受けた。これにより、“素行が悪い”というイメージがついてしまいそうな同選手だが、それは彼が持つ個性の一面に過ぎない。
ドイツ紙『ビルト』が報じた内容によると、2009年に兄弟と共同で設立した『カルー財団』の奉仕活動の一環として、カルーはクリスマス期間に祖国コートジボワールの孤児院を訪問。プレゼントを配って回ったという。
同選手の行動はこれだけに留まらない。その滞在期間中、カルーはダロアの病院を訪問。「これも僕からのクリスマスプレゼントの一種だよ。患者の皆さんにとって良いニュースとなってくれたらいいね」と、数台の人工透析器を無償援助している。
これらの活動についてカルーは「僕の目的は子供を助けること、そして彼らがもっとスポーツを身近に感じることができるような教育もしていくことだよ。彼らは僕らの未来だ。もっと良い人生を送られるようチャンスを与えてあげたい。そして僕は以前、コートジボワールで腎臓疾患と戦うキャンペーンの親善大使を務めていた。だからこの財団を使って、その病気に対して何かしたかったんだ。もし人工透析器がなければ彼らは亡くなってしまうんだよ」と、その意義を語っている。
アフリカで経済的には成長途上のコートジボワールも、まだまだ貧しい国の1つ。同国では透析器が極度に不足しており、『ビルト』紙によると国内にはたった3台しか存在していないとのことで、しかもそのうち2台は今回のカルーからのプレゼントという状態だという。
そもそもコートジボワールには最近まで人工透析設備を持った病院が、事実上の首都として機能している同国南部の大都市アビジャンのたった1カ所のみだった。そのため同国北部に住む患者はこれまで、長期治療のために仕事を辞めなければならなかったが、これを解決するためカルーは2013年2月、北部の町ブアケにも集中治療室を備えた病院を建設していた。
「これでもう彼らは長旅をすることもなくなるし、治療のあと帰宅できるからね」(カルー談)
祖国で貧しさに苦しむ人々を救うカルー。彼こそ本物のサンタクロースだったに違いない。