2015年になり、ブンデスリーガ各クラブはすでに冬季キャンプを開始。リーグ後半戦に向け、着々と準備を進めている。
しかしドイツサッカー界は昨年のワールドカップ優勝という輝かしい出来事にまだまだ酔いしれている。今月2日には、昨年11月に同国の映画館で一斉公開された、ブラジルW杯でのドイツ代表密着ドキュメント『Die Mannschaft(※日本語で「そのチーム」)』のハイライトが民放で放送されるなど、まだまだ“世界チャンピオン熱”は冷めることを知らない。
そんな中、当時のドイツ代表でヘッドコーチを務め、現在はドイツサッカー連盟(DFB)のスポーツディレクターとなったハンス・ディーター・フリック氏が、『南ドイツ新聞』とのインタビューでW杯優勝の秘密を語ってくれた。
同紙によると、以前までのドイツ代表と違いヨアヒム・レーヴ監督が率いる代表はセットプレーからの得点が少なく、ブラジルW杯のグループリーグで対戦する国々は、セットプレーをそこまで警戒していなかったという。
しかし、7-1という歴史的大勝となった準決勝の対ブラジル代表戦で、ゴールラッシュの口火を切ったのがセットプレー(トニ・クロース→トーマス・ミュラー)からだったように、同大会の全18ゴール中、4ゴールはコーナーキックから生まれている。
フリックSDは言う。
「我々は『セットプレーには多くの価値があるだろう』と見直しを始めたんだ。特にそのようなビッグタイトルがかかった大会では余計にね。誰がどこにいればベストになるか、自己分析をすることも我々の仕事だからね」
同SDが教えを請うた人物は、セットプレーのエキスパートとして知られているフライブルクのコーチ、ラース・フォスラー氏。フリックSDは同氏をDFB本部に招き、ワークショップを開いたという。
「彼のアイディアを拝借し、そこからさらに策を練ったんだ。我々のチームにどうやったら上手く利用できるか、とね。それをヨギー(レーヴ監督の愛称)と選手たちに伝え、みんなで議論し合ったんだ。なによりも重要なことは、セットプレーの練習を選手たちが楽しんでくれたことだよ。できるだけ実戦に近いようにしてトレーニングに取り込み、そしてゴールを2つ設けることで、守備側にとっては素早い攻撃への切り替えという練習も同時に行うことができた」
大会前から優勝候補の筆頭に挙げられていたドイツだが、周囲の声に驕ることはなく、24年ぶりの王者に向けて、その準備には余念がなかったようだ。