オリー・マーズは、イギリスの大人気リアリティ音楽オーディション番組『Xファクター』の第6シーズンで準優勝し、2010年にデビューシングル「Please Don’t Let Me Go」が全英1位を記録。一気にスターダムへの階段を駆け上がった。
その後、2作目のアルバム『In Case You Didn’t Know』、3作目のアルバム『Right Place Right Time』が連続で全英チャート1位を獲得。今回、2年ぶりのリリースとなる、3作連続で全英チャート1位に輝いた4作目となる最新アルバム『Never Been Better』が発売されたオリーが緊急来日!
『サッカーキング』ではマンチェスター・Uの大ファンとして知られ、日本代表MF香川真司とも交流したオリーに、愛するクラブや日本のサッカー、そして最新アルバム『Never Been Better』について聞いた。
写真●野口岳彦/インタビュー●小松春生
「ユナイテッドを好きになったのはベッカムのおかげ」
―――マンチェスター・U(以下、ユナイテッド)のファンだと聞きましたが、好きになったきっかけは何だったのでしょうか?
オリー・マーズ(以下、オリー) 8歳か9歳くらいに好きになったんだ。きっかけは、父が大、大、大ファンだったこと。最初はリヴァプールが好きだったけど、幸いにもそうならなかった(笑)。ターニングポイントは、デイヴィッド・ベッカムの存在さ。
―――なぜベッカムの存在が?
オリー イギリスでは有名、無名は関係なく、地元のチームを応援することが当たり前のことなんだ。僕はロンドンに住んでいたから、マンチェスターのクラブを応援することは珍しいんだけど、ベッカムの出身地が地元に近かったんだ。近所に住んでいたベッカムが、ユナイテッドで活躍していたことが大きかったね。
―――ベッカムのどんなプレーが好きでしたか?
オリー FKやCK……、セットプレーのスペシャリストだったね!
―――2001年のワールドカップ予選、ギリシャ戦のFKは忘れられませんね。
オリー あのFKも素晴らしかった。でも、ベッカムのおかげで勝ったとは、地元の皆はあまり思っていないんだ。やっぱり僕は1999年のチャンピオンズリーグ決勝のプレーが忘れられないね。正確な2本のCKから勝利を演出したんだから。(バイエルン戦、アディショナルタイムの2得点でユナイテッドが2-1で逆転勝利)
―――ユナイテッドにとってクラブ史上、最高と言えるシーズンでした。
オリー これまでに歴史的な瞬間をたくさん刻んできたクラブだけど、あの年はベストシーズンだったね。
―――突然ですが、ユナイテッドの歴代ベスト11を教えてください。
オリー OK。ピーター・シュマイケル、ガリー・ネヴィル、ヤープ・スタム、ネマニャ・ヴィディッチ、デニス・アーウィン、デイヴィッド・ベッカム、ロイ・キーン、ポール・スコールズ、ライアン・ギグス、クリスティアーノ・ロナウド、そして、エリック・カントナだ。
―――この11人を選んだ理由は何ですか?
オリー シュマイケルは“ビースト”だ。最後尾の司令塔だったし、野獣のように威圧感たっぷりで相手に得点を許さなかった。ガリー・ネヴィルは安定感があり、チームのために尽くす選手だった。スタムは“アニマル”。実は、2012年のチャリティーマッチで対戦したこともあるんだ。その時、タックルを受けたんだけど、とてもハードだったよ(笑)。素晴らしいディフェンダーでアメイジングな存在だったね。ヴィディッチもそうだ。リーダーでチームプレーヤー、そして安定感がある。アーウィンはプロフェッショナル。左右両足のどちらでも正確なキックができて、FK、CK、そして得点も決める。ベストな左サイドバックだ。
ベッカムはさっきも話したね。クロスやセットプレーはもちろん、エネルギーに満ち溢れているんだ。ロイ・キーンは、まさにキャプテンと呼べる存在だね。チームのためには壁もぶち破ってしまう存在で、どのクラブも欲しがるタイプの選手だ。スコールズは、クリエイティブでパスは世界最高峰。ギグスは、ドリブル技術に優れ、相手の間を簡単にすり抜けていく。スペシャルな存在だし、ユナイテッドで一番タイトルを獲得して、出場試合数が最も多いことも、その偉大さ証明している。
C・ロナウドは……ふーっ(ため息)。歴代のサッカー選手の中でも最高レベルだ。パワフルだし、スキルもあって、得点も決め……。全てを兼ね備えている。カントナはまさに“王様”だね。キーンのようにリーダーシップがあり、クールでジーニアス。“カンフーキック事件”は彼に大きな影響を与えたね。1年間出場できなかったけど、戻ってきてからは、さらに偉大な存在になったよ。
―――選んだ11人には、現在所属している選手がいませんでしたが、今のチームはどう思いますか?
オリー 12人を選んでもいいなら、ウェイン・ルーニーはもちろんリストに入ってくるよ。今のチームも素晴らしいさ。11人の中にいないのは、ユナイテッドの歴史が長く、偉大な選手が多いんだ。今の選手は、レジェンドたちほどのピークに達していない。でも、アンヘル・ディ・マリアやルーニー、ダビド・デ・ヘア、ロビン・ファン・ペルシーらは、その可能性が十分にある。今シーズンはいいチームになっているし、ポジティブなシーズンを過ごせている。後退ではなく前進だよ。チャンピオンズリーグ出場権を確保できるリーグ戦4位以内でフィニッシュすることは可能だと思うよ。
―――スタムにタックルを受けましたが、昨年はジョゼ・モウリーニョからチャリティーマッチでタックルを受けましたね?
オリー 特別な瞬間さ。(――ハードタックルでしたか?)スタムの方が厳しかったよ(笑)。変な話なんだけど、タックルされたのはとても誇らしいことなんだ。オールド・トラッフォードでモウリーニョから試合中にタックルを受けたのは僕だけだからね。
「ナカタにはユナイテッドに加入してほしかった」
―――香川真司がユナイテッドに在籍していた時の映像を見ました。当時の印象はいかがでしたか?
オリー 静かだけど、明るくて笑顔が絶えない選手。ユナイテッドの他の選手にも、ロッカールームでもすごく楽しくて、周囲を明るくする選手って聞いていたから、移籍してしまったのはとても残念だったよ。
―――香川がユナイテッドでなかなか活躍できなかった理由は何だと思いますか?
オリー シンジが得意とするプレーエリアで出場できなかったことだね。なぜなら、ルーニーがいたからさ。シンジがユナイテッドに加入した理由の一つにルーニーが移籍する可能性が大きかったことがある。でも、ルーニーはクラブに残ることを選んだ。シンジにとっては不運だったね。ナンバー10の位置で素晴らしい仕事をするけど、ルーニーは世界でもベストプレーヤーの一人だからね。
―――香川がユナイテッド在籍時に見せたプレーで、目に留まったものはありますか?
オリー ボールコントロールやワンタッチプレー、視野の広さは素晴らしかった。とても頭の良い選手で、ユナイテッドをはじめ、世界のトップチームはそういうクレバーな選手を必要としているからね。
―――香川以外に知っている日本人選手はいますか?
オリー インテルのナガトモ、あとはサウサンプトンにいるヨシダ。それにナカタだ。彼はレジェンドだよ。僕が子供の頃、世界中のチームが彼を欲しがっていたからね。ユナイテッドにも、もちろん入ってほしいと思っていたよ!
「僕はシンジのファンだし、活躍が楽しみ。ガンバレ!」
―――以前、ワン・ダイレクションのルイ・トムリンソンがフットボールクラブのオーナーになったことが話題になっていました。あなたも、クラブのオーナーになってみたいですか?
オリー 夢の一つではあるけど、やるなら徹底的に、だね。親戚が小さなクラブのマネージャーをしているんだけど、そこのユニフォームや金銭的な支援をしているんだ。将来的にやってみたいね。もちろんその時には日本人選手を獲得するよ!
―――日本代表や日本人選手、日本のオリー・ファンに聴いてほしい、お薦めの曲はありますか?
オリー 『Wrapped Up』だね! とてもテンションが上がる曲なんだ。あとはニューアルバムのタイトルにもなっている『Never Been Better』もだよ。パワーがあってポジティブだし、「今が最高」という意味だから、「これから試合だ!」という時にはピッタリなんだよ!『Never Been Better』はエキサイティングだし、楽しいアルバムで、1日が楽しくなることは間違いないね。いい1日を過ごすためにも、聴いてくれたら嬉しいよ!
―――日本代表にメッセージをお願いします。
オリー グッドラック! 特に僕はシンジのファンだし、活躍を楽しみにしているよ。(日本語で)ガンバレ!
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By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長