インタビュー・文=武藤仁史 写真=兼子愼一郎
36歳になった今もなお鹿島アントラーズの大黒柱であり続ける小笠原満男。今シーズン、チームはイメージ通りのスタートを切れず、自身も故障に苦しめられた。黄金期を知るベテランは、自身の経験を未来へと引き継いでいく。常勝鹿島の精神を再びチームに取り戻すために――。
――明治安田生命J1リーグ1stステージのチームの戦いぶりについて、どのような印象をお持ちですか?
AFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)の予選リーグで敗退してしまったこと、そして今のJリーグの成績を見ると、不甲斐ないとしか言いようがないですね。個人的にもなかなかいいプレー、いい結果が残せていないので、非常に心苦しいです。ACLは敗退してしまいましたけど、Jリーグは2ndステージも残っています。これからチームが上昇していけるように頑張りたいと思います。
――3月にはACLの広州恒大戦で右ひざ内側側副じん帯を損傷し、1カ月の離脱を余儀なくされました。
離脱してしまったのは残念だし、本当に悔しかった。ただ、プレーできない状態になって、チームのために何か力になりたいという思いと、少しでも早くピッチの上に戻りたい、まだまだ自分はプレーしたいんだという気持ちが再認識できました。少しでも長く、いいプレーを見せ続けていきたいという気持ちが湧き出てきたことは、ある意味で収穫だったと感じています。
――復帰後のプレーの感覚や出来についてはいかがでしょうか?
いいプレーができていない上に、チームもあまり勝てていない。非常にもどかしさが残る前半戦になりました。もっといいプレーがしたいし、今後はチームを勝利に導けるようなパフォーマンスを披露していきたいと思います。
――1stステージは6勝4分け7敗という結果に終わりました。
厳しい結果ですね。例えば、優勝した浦和に負けた試合(リーグ第13節、5月23日開催)。あのようなチームが上向くきっかけとなりそうな試合では勝たないといけないし、ああいう試合を落としてしまうとその後の戦いも苦しくなってしまう。2ndステージで勝利を積み重ねていけば、まだ総合優勝のチャンスがあると思うので、これからチームが上昇できるように頑張りたいですね。
――今シーズン、アントラーズがタイトルを獲得するために、必要になることはどんなことでしょうか?
チームとしてもっと勝ち方を知らないといけない。今は若い選手が試合に出ることが増えましたが、ただ一生懸命プレーしているだけになっているように感じます。もちろん彼らが手を抜いているわけではないですけど、一生懸命にプレーするところから、勝つためのプレーを身につけることが必要になると思います。優勝していた時のチームは全員が勝つために何をすべきかを分かっていた。ゲームの中でいい時や悪い時、リードした時や失点した時、そういう状況の変化にみんなが対応できていた。そこが今のチームには少し欠けているように思います。1点取ったら安心感からチーム全体的にラインを下げてしまったり、失点すると前掛かりになりすぎてカウンターで追加点を奪われてしまうことが多い。なので、90分を通して勝つためのサッカーを覚えていく必要があると思います。
――小笠原選手にとって、改めて鹿島アントラーズらしさとはどのようなものだと考えていますか?
チームの全員が勝利のために、献身的に自分を犠牲にして戦うところだと思います。例えば目立ちたい選手がいると、チームがバラバラになって勝利を逃してしまう。ジーコもよく言ってましたけど、「犠牲心を持ってチームの勝利のために」という言葉に尽きます。試合だけじゃなく、練習でもチームの勝利のために団結できるところが、鹿島アントラーズらしさだと思うので、そういう伝統を僕らが引き継いでいかないといけないと思っています。
ストレスなく、素足の感覚で履けるスパイク。
――話は変わりますが、スパイクで最も重要視している部分はどこでしょうか?
小笠原 やっぱりフィット感ですね。足に違和感を感じてしまうと、プレーに集中できなくなってしまうので。僕が『ニューバランス』を選んだ理由は、何も履いていない、裸足のような感覚で履けるからです。
――『VISARO(ビザロ)』の印象を教えてください。
小笠原 僕はチームの真ん中に位置するボランチというポジションなので、前後左右に急激な方向転換が必要になります。守備の時には、急にバックをしたり、反転したりしなければいけない。このスパイクは足の踏ん張りを地面に効果的に伝えてくれるので、自分の進みたい方向に360度、全方位へのスムーズな動きを助けてくれます。それに、滑らない印象もありますね。スパイクによっては、プレー中に滑って転んでしまうこともありますけど、『VISARO』を履いてからは滑ってしまうことが、ほとんどなくなりました。
――『VISARO』は「MAKE CHANCE」をコンセプトに、決定機を生み出す選手に向けて開発されています。
小笠原 中盤の選手は長短様々なパスを繰り出す必要があります。パスの正確性を上げるために、このスパイクが助けになっていると感じますね。本当に狙ったところに1ミリもズレずに蹴れてるので……。それは冗談ですけど(笑)。僕はサッカーをする上で「止める」、「蹴る」を一番大事にしています。それが少しズレるだけで、次のプレーに大きな影響が出てしまいます。このスパイクは「止める」、「蹴る」が正確にストレスなくできるスパイクですね。