13勝3分け。女子ワールドカップで優勝した、なでしこジャパンのメンバーを7人擁するタレント軍団らしく、圧巻の優勝劇だった。
ワールドカップで得点王と大会MVPに輝いた澤穂希がチームを巧みにコントロールし、最終節でリーグ通算150得点を記録した大野は世界レベルの決定力を披露。そして、成長著しいキャプテン川澄に導かれ、2001年11月に設立されたINAC神戸レオネッサは念願の“女王”の座に登り詰めた。
リーグ優勝を決めた第17節のAS狭山戦、彼女たちを待っていたのはうれしい“サプライズ”だった。試合後、来季の公式ユニフォームスポンサーとして9月に契約に至っていたサンヨー食品株式会社から、『サッポロ一番』ロゴ入り公式ユニフォームと、「サッポロ一番」商品1年分が贈呈。チームを代表して来季のユニフォームを手にした川澄は次のように喜びを語っている。
「サンヨー食品さんという大きなスポンサーがついて、来季も優勝したいという気持ちがより一層と強くなりました。スポンサーさんからの支援は、女子サッカーの発展に欠かせないものなので、本当にうれしいです」
ほとんどの選手がプロ選手として契約しているJリーグとは違い、日本の女子サッカーでプロ契約を結んでプレーするのは、ごく限られた選手のみ。サッカーに打ち込める環境が整備されているとは、お世辞にも言えない状況だ。それでも、多くの女子プレーヤーはあきらめることなくサッカーを続けてきた。
その成果のひとつが、今夏のワールドカップ制覇であることは間違いない。世界一に輝いたことで世間の女子サッカーに対する関心は一気に向上。大会後の8月6日に行われた新潟レディース対INAC神戸の一戦には、女子サッカーリーグ史上最多となる2万4546人の観客が足を運び、8月19日、なでしこジャパン対なでしこリーグ選抜のチャリティーマッチには雨天の中、2万人を超えるファンが駆けつけた。
ワールドカップ優勝を契機に、大きな変動を遂げる日本の女子サッカー界。こうした中、彼女たちを支えるスポンサーの存在は、川澄が話すとおり「女子サッカーの発展に欠かせないもの」となるはずだ。
「サッポロ一番さんの声援をはじめ、サポーターとともにもっともっと女子サッカーを盛り上げたいと思うので、応援を宜しくお願いします!」
川澄の笑顔のメッセージに込められた願いは同時に、すべての女子サッカー選手の願いでもある。
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【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。『STREET JACK』、『Men's JOKER』でファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、『SOCCER KING(@SoccerKingJP)』の編集長に就任。『SOCCER GAME KING』ではCover&Cover Interviewページを担当。