2015-16シーズンが開幕して約1カ月が経過。チャンピオンズリーグも本戦が始まり、ヨーロッパ各国リーグの戦いも本格的にスタートしました。
『サッカーキング』では4大リーグから10チームをピックアップし、夏の補強やここまでの戦略を分析。さらに少し気が早いですが今シーズンの達成目標までを考察し、毎日1チーム、10日間にわたり連載形式で「2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証」をお届けします。
第5回は、昨シーズンにチャンピオンズリーグ、リーガ・エスパニョーラ、コパ・デル・レイの三冠を達成したバルセロナ。強力3トップを軸とした攻撃陣が健在で、2季連続の三冠を狙う王者の序盤戦を分析します。
バルセロナ
文=Footmedia
基本フォーメーション
夏の戦力補強評価
採点…2(5点満点)
この夏は、アトレティコ・マドリードからシャビの後釜としてアルダ・トゥランを、セビージャからダニエウ・アウヴェス並みの攻撃力を誇るアレイクス・ビダルを獲得したものの、FIFAからの補強禁止処分により両選手共に来年1月までプレーできない。そのため、純粋な戦力の上積みはゼロになる。ただし、昨シーズンはケガで公式戦1試合の出場に留まったトーマス・ヴェルマーレンが、開幕から連続して先発出場を果たした他、右サイドバックという新境地を開拓したセルジ・ロベルトが周囲の予想を上回るパフォーマンスを披露するなど、実質“補強”に等しい出来事が相次いだ。
残念ながら、ヴェルマーレンは12日のアトレティコ・マドリード戦で再び負傷して1カ月弱の離脱となったが、最終ラインの選手層はさらに充実度を増している。もっとも、チェルシーに移籍したペドロの後釜は不在のまま。昨シーズン以上に3トップへの依存度が高まっている攻撃面については、やはりアルダとA・ビダルの新戦力2人による“時間差補強”に期待したいところだ。
チームとしての注目ポイント・選手
12日に行われた敵地でのアトレティコ・マドリード戦で逆転勝利し、4シーズン連続での開幕3連勝を達成した。これはリーガ史上初の快挙となる。そのアトレティコ戦で得点を挙げたネイマールとリオネル・メッシ、さらにルイス・スアレスで形成される3トップが、公式戦122得点を記録した昨シーズン同様の活躍を見せられるか。それが、2年連続の三冠を狙うチームの生命線となるのは変わらない。
ただし、長いシーズンを考えれば、控えメンバーの奮起は不可欠だ。特に、今シーズンから正式にトップ昇格を果たしたサンドロ・ラミレスやムニル・エル・アダディら、若きカンテラーノたちには期待したい。もちろん、“MSN”は高い壁だが、彼らを安心して温存しておけるぐらいの存在感を見せなければ、さすがのスターたちも勤続疲労でやがてガタがくる。それに、本人たちのクラブでの将来も安泰ではなくなるだろう。それは、トップチーム在籍7年目を迎えて、今やすっかり中堅選手となったマルク・バルトラにも当てはまる。カンテラーノたちがチームの中心を担った、かつての姿は復活するのか。それもまた、今後の注目ポイントとなる。
チームとしての懸念点
開幕からここまで順調に勝ち点を積み重ねきたが、一方で暗い影を落とすのがケガ人の多さだ。16日のチャンピオンズリーグ・ローマ戦では、複数のポジション、役割をこなすことで徐々に存在価値を高めていたラフィーニャが右ひざ前十字じん帯を断裂し、少なくとも半年以上は離脱することが決定。さらに現状、ダニエウ・アウヴェス、クラウディオ・ブラボ、ドウグラス・ペレイラも戦線離脱中だ。
夏の新戦力を起用できない今年いっぱいは、ケガによって選手の頭数を減らすことだけは避けたいところだったが、早くもプランの再考を余儀なくされている。シーズンにアクシデントはつきものだとはいえ、12月に日本で開催されるクラブ・ワールドカップまでは欧州一の過密日程が控えており、今後は徹底したコンディション管理の他、ターンオーバーの積極使用などでケガのリスクを分散するなど、ルイス・エンリケ監督の起用法にも工夫が求められる。
シーズン最終目標・予想
8月のスーペル・コパでアスレティック・ビルバオに敗れて、目標だった“年間6冠”を逃したときには懐疑論も飛び出した。しかし、いざ本番を迎えると、王者としての実力を如何なく発揮。リーグ連覇に向けて最初の関門となったアトレティコ戦でも、敵地で見事な勝利を収めた。やはり今シーズンも、レアル・マドリードとのクラシコがタイトル獲得への分かれ道となりそうだ。
そのレアルには、今シーズンから“カップ戦マスター”として名高いラファエル・ベニテス監督が就任した。連続三冠を目論むバルセロナにとっては、コパ・デル・レイで対戦する可能性が最も高いが、これまで以上に強力なライバルとして立ちはだかることになりそうだ。またチャンピオンズリーグ連覇も誰も成し遂げたことのない“未知の領域”であり、今シーズンは少なくともタイトルを1つ獲れれば、御の字と言えそうだ。
By Footmedia