準優勝を果たした「ろう者日本代表」
第8回アジア太平洋ろう者競技大会サッカー男子決勝が11日に台湾の桃園市で行われ、ろう者日本代表はイラン代表と対戦。PK戦の末に3-4で敗れ、大会2連覇を逃して準優勝に終わった。今大会は2017年7月にトルコのサムスン市で開催される聴覚障がい者の第23回夏季デフリンピックのアジア太平洋地区予選を兼ね、ろう者日本代表はこの大会で上位3カ国に与えられる出場権を手にしている。
グループリーグ初戦でカザフスタンに5-0と快勝して好スタートを切った日本は、第2戦でアジア太平洋地区で最強を誇るイランと対戦。開始7分に先制点を許すと、55分までに4失点を喫して力なく敗れた。しかし、第3戦のオーストラリア戦では、2-0と勝利して2勝1敗でAグループを2位で通過。決勝トーナメントへ進出を決めた。
ろう者日本代表に声援を送るサポーター
決勝トーナメント準決勝では、グループリーグでサウジアラビアを5-1、マレーシアを5-2と下し、Bグループ首位で通過してきた宿敵韓国と対戦(Bグループは中国が辞退したため3チームで開催)。苦戦が予想されながらも、前半に2点、後半に1点を奪い、3-0と快勝し、この大会最大の目標であったデフリンピック出場権を獲得した。中山剛監督は試合後「点差がつきましたが、どちらに転んでもおかしくない緊迫した試合。良い部分を出せた日本と、良い部分が消された韓国と、この部分が勝敗を左右しました。試合の流れを感じられる選手が増え、悪い流れの時でも我慢できるようになったのがチームとして大きく成長してきている部分です」と、試合を振り返り、勝利とともに選手の成長に手応えを示した。
イランの猛攻をパンチングで防ぐGK松元卓巳
そして、決勝はグループリーグで完敗を喫したイランとの再戦。準決勝でサウジアラビアを2-0で下し、今大会4試合で22得点1失点と圧倒的な攻撃力を誇るイランとの対戦で、さらにはセンターバックで主将を務める細見尚史が累積警告数により欠場と厳しい展開が予想された。しかし、ふたを開けてみると日本が健闘。前半をスコアレスで折り返すと、51分に竹内裕樹がヘディングシュートを決めて先制に成功する。その7分後には、イランに同点弾を許すが、1-1で90分を終了。延長戦に入っても、体を張った守備でイランの猛攻をしのぎ、追加点を許さずにPK戦に持ち込んだ。PK戦では4人全員が成功したイランに対し、日本は1人目の古島啓太、5人目の設楽武秀の2人が外して3-4で敗北。善戦もむなしく、PK戦の末に惜しくも涙をのんだ。
表彰台上でサポーターの声援に応えるろう者日本代表
2連覇を逃し準優勝に終わった日本だが、決勝ではアジア強国イランを相手に奮闘。最低限の目標であったデフリンピック出場権も獲得し、来年6月にイタリアのサレルノで開催される第3回世界ろう者サッカー選手権大会に向けて、弾みをつけた大会となった。
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▼取材協力
聴覚障がい者サッカー日本代表 テクニカルアドバイザー 田澤龍太郎
By サッカーキング編集部
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