レアル・マドリードに所属するポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドのドキュメンタリー映画『RONALDO』が9日に公開。初日にはワールドプレミアがロンドンで行われ、C・ロナウド以外にもアレックス・ファーガソンやジョゼ・モウリーニョなどゆかりの人物たちが出席したことも話題となった。
同作品は日本でも18日に日本語字幕付きDVDがリリースされることが決定しており、日本のファンもC・ロナウドの新たな一面や息子や家族とのプライベートシーンなど、普段は見られない姿を目にすることができる。
『RONALDO』公開に際し、C・ロナウドは公式インタビューに応じ、以下のように作品やキャリア、サッカー、息子や家族などについて多くを語っている。
ファンに僕の大切なものを見せたかった
―――このドキュメンタリー映画を制作することを快諾した理由は?
C・ロナウド この映画の企画を僕の仲間たちが話してくれた時、とてもワクワクしたんだ。素晴らしいことだと思ったんだよ。個人的にもそうだし、家族にも、ファンにも観てもらえることが嬉しいんだ。僕の人生とは何なのか、僕は何をしているのか、選手としてなぜここまで成長したのかということをね。それに、映画を制作することは夢だったんだ。ユニバーサルのチームと一緒に映画を作ることも特別だった。映画を見ることが好きで、ビッグな会社だっていうこともわかっていた。素晴らしい協力関係があったし、とても嬉しかったよ。
―――映画では多くのプライベートなことを克明に見せています。そのようなことを世界中に伝えるのは、あなたにとってどれほど重要なことでしたか?
C・ロナウド ファンに僕の大切なものを見せたかったんだ。本当の僕の姿を見せたかった。ファンが僕の真の姿を知るのは当然だと思っている。いつも一緒にいてくれるし、常にサポートをしてくれるからだ。だから、僕自身のためだけではなく、ファンのためにもこの映画を作ったんだ。僕はポール(・マーティン、プロデューサー)とアンソニー(・ウォンケ)と初めて会ったとき、相性がいいと感じた。あんな風に生活をオープンにするなんて、僕自身思ってもみなかったから、最初はちょっと恥ずかしかったよ。でも、自然なことに感じられたんだ。彼らに共感したし、相性のよさを感じられたからね。何回も撮影しながら話をする中で、僕の息子や友人、家族と一緒にいる僕の姿を彼らは見つけてくれた。だから僕は楽しみにしたんだ。撮影した映像を見せてくれたとき「すごい! フェイクじゃなくてこれがリアルな僕の姿なんだ」と声が出たね。
―――現在のような選手へと成長する上で、ご両親と過ごした幼少期はどれほど重要なことでしたか?
C・ロナウド 当然、父親と母親は僕の成功のベースになっている。普段の生活でももちろんそうだよ。2人からは多くを学んだ。11、12歳の頃にスポルティング・リスボンの下部組織に入って、一人で生活するようになった時は辛かった。でも家族はいつもサポートをしてくれて、精神的に強くなって、なんでも対処できるようになったんだ。幼い頃に家族と離れたことは簡単なことじゃなかったし、僕の人生で最悪な時だった。でもだからこそ、精神的に強くなったと思う。両親や兄弟から離れて、友人と一緒に暮らしたからね。今の僕の性格や考え方が人と違ったりするのは、まぎれもなく子供の頃の影響だと思う。
―――サッカー選手の友人が多くはなく、試合後は一人でいる方がいいと映画の中で話していました。なぜでしょうか?
C・ロナウド わからないけど、僕の父親も同じような行動をしていた。僕の試合を観に来てくれる時は一人だったことを覚えている。だからと言って、僕は孤独な人間ではないよ。小さい時からそうだったということ。友達がいないわけじゃない。サッカー選手の友達もいれば、それ以外の友達もいる。親友と呼べる存在は4、5人くらいかもね。それが僕にとって普通だから、満足しているよ。
本心を言えば息子にはサッカー選手になってほしい!
―――あなたと息子のクリスティアーノ・ロナウド・ジュニアくんとの関係を映し出すことは重要なことでしたか?
C・ロナウド クリスティアーノのおかげで経験できたことは素晴らしいことだ。息子を持つことは夢だったんだ。予想もしていなかったよ…クリスティアーノが僕を大きく変えるなんてね。あの子は僕をサポートしてくれて、いつも笑顔でいてくれる。世間にとっては、父と息子の関係を見ることは興味深いことだと思う。気に入ってもらえるはずさ。楽しく、忠実な関係で、ありのままの姿だからね。息子との関係は最高なものさ。
――――――息子さんはゴールキーパーになりたいと言っていますが?
C・ロナウド そうなんだよ! 息子はゴールキーパーがお気に入りなんだ。でも、僕のようにフォワードになって、得点をたくさん取るようにちょっと後押ししているんだけどね。だから、あの子の考えは変わってきていると思うよ。だけど、あの子がやりたいことをやればいいと思う。プレッシャーをかけるつもりはない。もし、あの子がサッカー選手になりたいのであれば、フォワードになるように後押しするつもりだよ。
―――クリスティアーノくんにはサッカー選手になってもらいたいですか?
C・ロナウド 本心を言えば、もちろんそうだ! なって欲しい! でも、息子はやりたいことをやるだろうね。やりたいことは自然と見つかるものだ。子供の頃、誰も僕にプレッシャーをかけてくれなかったから、自分のやりたいことがやれてきた。だから、僕がされたことと同じことを息子にするよ。僕のようになってほしいけどね。
―――映画の中で、ある女性ファンがあなたに会って感情的になっているシーンがありました。そのような状況では、どのように対処するのですか?
C・ロナウド 簡単なことじゃないよ。映画のシーンでは面白く仕上がっているけど、大変な場合もあるんだ。例えば、数年前の病院での出来事を覚えているけど、ベッドで横になっていた子どもが僕を見て、びっくりしたんだ。そうすると、心拍数がものすごく上昇してしまったから、僕は「大丈夫だよ」とだけ声をかけて、その場を後にしないといけなくなってしまった。僕のことを大好きでいてくれる人がいてくれることは内心、すごく嬉しく思っているし、ありがたいことだと思うよ。それが、毎週試合で頑張って、ファンをハッピーにさせるモチベーションになるんだ。
メッシが最高と思う人がいるかもしれない。それは尊重するけど僕の中では自分が最高だ
―――サッカー選手として向上したことは何でしょうか? また、今はどういったところを向上しようと取り組んでいますか?
C・ロナウド 年齢を重ねるとともに、以前では見えなかったものが見えるようになっていると思う。以前は下手だったという意味じゃない。常にプロでいたし、自分を向上させようとしてきた。足元のテクニックを強化するとか、ヘディングでの競り合いを強化するとか、何か一つの目的を探しているだけじゃない。全てが一体であって、常に全てを向上させないといけない。年齢とともに、手としても、人間としても経験を積んできたから、過去のミスは繰り返すようなことはもうない。例えば、22歳の頃、僕は試合の後に外食をして、家に帰るのが午前2時や3時だったんだ。でも、今はそんなことをしていない。今は、すぐに家に帰って、体力を回復させて、次の日に動けるようにしている。こうした細かいことが、シーズンの終わりに近づくにつれて、大きな違いを生むことになるんだ。年齢とともに、失ってしまうことはあるけれど、別の部分で向上することはできる。そういったところで、僕は年齢とともに向上しようとしているんだ。
―――では、あなたの一番の欠点はどんなものですか?
C・ロナウド みんなと同じように僕にも欠点はある。多分、一番の欠点は試合に負けた時、激しく怒ることじゃないかな。そんなことをして後悔する時もあるんだ。ポルトガル代表やレアル・マドリードで調子がいい時に試合に負けると、叫んだり、罵ったりしてしまう。でも、後になって「なんであんなことをしたんだ?」と後悔するんだ。カッとなりすぎる時があるんだよ。でも、それも僕の一部だ。僕はそういう人間であり、一緒に仕事をする人たちは僕のそういった面をわかってくれている。
―――普段、サッカーのことはどれくらいチェックしていますか?
C・ロナウド あまり多くはないかな。テレビはそんなに見ないんだ。当然、元チームメイトがいるチームは見るよ。マンチェスター・ユナイテッドは好きなチームでもあるから、もちろん見る。ビッグマッチもチェックしている。ただ、僕はサッカーの試合を見ることがすごく好きなわけではないんだ。プレーは好きだけど、観戦するのは……「もういい」って感じだね。午前中はずっとサッカーの練習をして、家に帰って、夜はサッカーをずっと見るのかい? それは嫌だな。家に帰ったら、子どもたちと他のことをしたり、ショッピングに出かけたり、プールで遊ぶよ。同じようなことをしないようにしているんだ。変化をつけるようにしている。
―――リオネル・メッシが5回目のFIFAバロンドールを受賞すると言われていますが?
C・ロナウド まったく気にしていないよ。こういった賞を勝ち取るには、自分のことだけではダメだ。僕は常に変わらずトップレベルにいるけど、歴史的に言って、それは大変なことなんだ。8年間、トップレベルであり続けた選手を挙げられるかい? 難しいよ。以前から話しているけど、チャンピオンズリーグやリーグ戦を勝ち抜くことは、すべて些細なことで決まるんだ。不満を言うつもりはないんだ。とてもハッピーだよ。自分のキャリアにとても感謝をしている。君の頭の中では、メッシが最高かもしれないね。それは尊重するけど、僕の中では、自分が最高なんだ。みんなが「自分を最高」だと考えるべきだよ。僕はそう思っている。だから、こんなに向上できるし、たくさんの功績を成し遂げられるんだ。ずっとそう考え続けているからね。これからも、自分のキャリアを終えるまで、そう考え続けるよ。
―――ファンからの否定的反応には、どう対応するのですか?
C・ロナウド ある意味、僕を後押ししてくれるから好ましいことだととらえているよ。アウェイでプレーする時、観客は常に僕を非難するけど、それがいい。嫌っている人からいいことを見つける必要がある。そんな人たちが自分を後押しするってことをね。自分を叱咤激励しているんだ。僕には、アンチな人たちも必要だと言えるだろうね。仕事には必要な一部分だ。そこからモチベーションが湧くんだ。18歳の頃からずっとそうなんだ。全く問題ないよ。
命よりもサッカーが大切なんだ
―――どうやってリラックスしたり、落ち着くようにしているのですか?
C・ロナウド テレビや新聞を見ないようにしている。レアル・マドリードが負けた翌日の新聞には、僕のことがよく書かれていないとわかりきっているのに、どうしてそれを読むんだ? 何のためだ? だから、そういったことは避けるようにしているよ。一人でプールに行くのが好きなんだ。家にいるときも泳ぐし、瞑想したりもする。リラックスするように心掛けているんだ。これは大切なことだと思う。毎日、心を清らかにしてベッドに入って、よく寝る。次の日になって、みんなをハッピーにして、自分自身もハッピーになれる。だから気分がいい。これが僕にとって大切なことなんだ。
―――レアル・マドリードを退団して、他のクラブでプレーしている自分を想像できますか?
C・ロナウド もちろんさ。今はレアル・マドリードにいられて満足しているけれど、将来のことは誰にもわからない。嬉しいと思えることをやるだけだよ。今はレアル・マドリードにいて、とてもハッピー。でも、明日のことはわからない。明日は明日の風が吹く。だから、成り行きを見守ってほしいね。
―――この数年間、とても安定して結果を残している理由がわかりますか?
C・ロナウド 全てだよ。偶然ではない。常にハードなトレーニングをしているし、栄養をしっかり摂って、毎日よく寝て、体力を十分に回復するようにしている。サッカーは僕の人生で、生きがいなんだ。これは重要なことで、命よりもサッカーが大切なんだ。だから、自分自身の100パーセントをサッカーに捧げられる。例えば今、トレーニングをしているとしよう。お昼にランチを食べて、それから午後には、もう1セッションするんだ。ハードなトレーニングではなく、リカバー・セッションだ。一番重要なのは自分の体だから、自分の体を大切にしないといけない。そのおかげで、僕はこの8年間、これほどまでに安定している。100パーセントの力を捧げられているということだね。
―――痛みやケガとはどう向き合っていますか?
C・ロナウド 毎日、直面していることだよ。でも、それは生活の一部でしかない。他の選手に聞いても、みんな同じ答えをするよ。痛みに対処する方法を知っている人もいれば、知らない人もいる。前にも言ったように、気を強く持たなくてはダメだ。毎日ハードなトレーニングをして、週に2回プレーをすれば、気が強くなるよ。でも、体はそういうことをするのに慣れていない。それが普通だ。気を強く持たなくてはダメなんだ。
2015年11月18日(水)リリース
DVD:3,800円(税別)
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
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By サッカーキング編集部
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