グエン・コン・フオンと水戸の契約調印式
Jリーグが推進する東南アジア戦略の一環として、今オフには東南アジア各国の若きスターがJリーグクラブのトライアルに招待された。ベトナムからは、MFグエン・トゥアン・アイン(20歳)が横浜FCの練習に参加し、見事契約を勝ち取った。これにより、既に水戸ホーリーホックとの契約が内定していたFWグエン・コン・フオン(20歳)に加えて、来季は2人のベトナム人選手がJ2でプレーすることが決まった。
両選手は共にベトナム1部ホアン・アイン・ザライの下部組織であるHAGLアーセナルJMGアカデミー出身で、今季トップチームに昇格してプロデビューを飾った。ベトナム国内では、特に期待をかけられている若手選手であり、U-19代表時代には、ポゼッションサッカーで観客を魅了した。その特徴的なプレースタイルから、グエン・コン・フオンは「ベトナムのメッシ」、グエン・トゥアン・アインは「ベトナムのピルロ」と呼ばれて、若者を中心にアイドル的な人気を集めている。
12月23日にベトナムで行われたグエン・コン・フオンと水戸の契約調印式には、総勢100人以上の報道陣が詰めかけた。ベトナム代表のマーケティングを担当している電通が仕掛け人となり、ベトナムでは、かつてない規模の大掛かりな調印式となった。式典に出席した水戸の沼田邦郎社長は、「彼が来季付けることになる背番号16は、水戸の出世番号で、現在、ドルトムントで活躍中の韓国代表パク・チュホ選手が水戸在籍時に付けていました。グエン・コン・フオン選手もいずれは世界に羽ばたくような選手となれるよう大事に育てていきたいと思います。」と語った。
グエン・トゥアン・アインと横浜FCの契約調印式
一方、トライアルを経て横浜FCとの契約にこぎつけたグエン・トゥアン・アインの調印式にも大勢のサポーターが招待され、華やかなものになった。さらに、HAGLと横浜FCは包括的な業務提携の締結を発表。今後はトップチーム同士や人材面での交流だけでなく、クラブ運営のノウハウ提供などで協力していくという。
今回、日本への移籍が決まった両選手は幼いころから切磋琢磨したチームメイト。来季は初めて別々のクラブでプレーすることになった。水戸と横浜FCは共にJ2所属のため、来季はベトナム人ダービーが実現する可能性もある。ベトナムのサッカーファンなら誰しもが注目する一大事件だが、現在、ベトナム国内ではJリーグが放送されていない。ベトナムサッカーを応戦する者としては、ぜひ放送再開を願いたいものだ。
因みに、以前から噂されていたHAGL所属のMFルオン・スアン・チュオン(20歳)の韓国1部仁川ユナイテッドへの移籍も12月28日に正式に発表された。こちらは、Kリーグが推進するベトナム市場開拓戦略の一環であり、Kリーグは今年10月にベトナム国営テレビ(VTV)との間で放映権契約を締結している。
(アジアサッカー研究所/佐藤)
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