インタビュー=安田勇斗、写真=JUFA/REIKO IIJIMA
今年1月、全国高校サッカー選手権大会で初優勝を飾った星稜高校。前橋育英高校との決勝、劇的な展開で勝利を収めたチームの中心には、カルレス・プジョルに憧れた“闘将”鈴木大誠が君臨していた。しかし、プロには一歩届かず、次のステージに筑波大学を選んだ。「相手の逆を取るサッカー」の中でひと回り成長した大誠が現在の想いを語る。
サッカーができる教員になれたらスーパーやなって思うようになった
――筑波大学へ入学した経緯は?
大誠 実は中学生の頃から行きたいって思っていたんです。その頃、親とたまに高校や大学の進路について話すことがあって、親から「筑波大がええんちゃう?」って言われて、筑波大に進学することを意識していました。勧めた理由はわからないですけど(笑)。それで高校生になって、サッカーができる教員になれたらスーパーやなって思うようになって、筑波大へ行きたいとより強く思うようになりました。
――教員というのは具体的に言うと?
大誠 小学校とか中学校の、担任の先生がいいなと。で、高1の進路面談で筑波大を希望したんです。ただ、星稜の体育コースって筑波大を目指すようなカリキュラムじゃなかったんですよ。だから先生からは「大変やで」って言われて。それでも先生がマジで応援してくれたので、自分もマジで目指そうって決めました。先生からはまずサッカー部で、全国大会でベスト4に入りなさいと言われ、サッカーに対するモチベーションもより上がりました。
――最終的に進路を決めたのはいつ?
大誠 高3になって河崎(護)監督に相談して、8月に筑波大の練習に参加させていただきました。そこで小井土(正亮)監督ともお話させていただき、「ぜひ来てほしい」と言っていただきました。
――プロは考えなかったんですか?
大誠 プロから話が来るようなレベルではなかったので、大学に行こうと決めていました。
「あいつがいれば点を取られない」という存在になりたい
――大学の寮生活はいかがですか?
大誠 高校から寮生活なので慣れましたね。星稜の寮は1人部屋ですし、めちゃめちゃいいんですよ。筑波大でも同じような環境なので快適ですね。
――筑波大の練習は高校時代に比べてどうですか?
大誠 最初は全体練習が物足りないと感じて、2時間ぐらい自主練したるかって感じでした。そしたら小井土監督から「体に負荷がかかるからやりすぎるな」って注意されて(苦笑)。練習時間が1時間なので、力があり余ってたんですよね。でも、途中から短時間の練習で集中してやることを理解できるようになってきました。
――筑波大はどんなサッカーを目指しているのでしょうか?
大誠 相手の逆を取るサッカー。常に相手と駆け引きをするのが魅力だと思いますね。その中でポゼッションやパスワークを駆使して相手の裏を取ったりするのでやっていて楽しいです。
――ポゼッションというと中盤はイメージがつきやすいですが、センターバックはどんな働きを求められているのですか?
大誠 ビルドアップの時に相手の動きを見て、ショートパスをつないだり、縦パスを入れたり、ロングボールを入れたり、そういうことを考えてプレーしています。また逆を取る、というのは攻撃に限ったことじゃなくて守備でも意識しています。相手がカウンターを仕掛けたらこう守る、相手がポゼッションをするならこう守るという感じで、プレスを掛けたり、あえて引いて守ったり、前で奪ってカウンターを仕掛けたり。いい意味で固執したスタイルがなく、常に頭を使うサッカーですね。
――その中で自分がアピールしたい部分は?
大誠 自分が違いを見せられる部分はゴール前だと思っています。とにかくゴールを決めさせないことですね。まずは筑波大で一番のDFになって、「あいつがいれば点を取られない」という存在になりたいです。
――目指している、参考にしている選手はいますか?
大誠 僕はプジョルが好きでした。ゴール前で常に体を張り、スライディングでシュートブロックしたり、決定的なシーンをタックルで止めたり、GKが抜かれてもカバーに入って失点を防いだり、そういうプレーが好きなので。
――最後に今後の目標をお願いします。
大誠 プロになることです。そのために筑波大でタイトルを取りたいですし、大学選抜にも入りたい。プロになるという大きな目標を達成するために、今は1日1日を大切に過ごしています。