丁寧な準備が開幕戦の勝利を呼びこむ
昇格組の次は昨シーズン王者。2010年以来となったアウェイでの開幕戦でジュビロ磐田に勝利した新生グランパスが、早くも今後の試金石となる一戦を迎える。サンフレッチェ広島は選手の質、チームの完成度、勝利を知るメンタリティーと、3拍子そろった強敵。「僕らはチャレンジャーとしてどこまでやれるか。思い切っていくだけでしょう」。小倉隆史GM兼監督が挑戦者としての立場を強調するのは、相手の強さを認めているからこそだ。
新体制初勝利となった磐田との開幕戦では、綿密なスカウティングと選手たちの機転が勝利を呼び込んだ。相手が高い位置から激しくプレスを掛けてくることを見越して、あえて199センチの長身シモビッチの高さを生かしたシンプルな展開を織り交ぜ、磐田のプレスを空転させた。また、相手のキーマンであるアダイウトンが、守備時にあまりボールを追わないという情報も把握していた。そのアダイウトンとマッチアップしていた矢野貴章のオーバーラップから、貴重な決勝ゴールが生まれたのは偶然ではない。
このシンプルで堅実な戦い方を選んだのは、ピッチで戦う選手たち自身だった。新加入の安田理大が「ボールを持ったら一番怖いプレーをするというのがサッカーの基本」と語れば、矢野も「口に出して言ってはいないけど、みんなそう思ってやっていた」と試合を振り返る。事前のスカウティングに基づいた、明確な判断と意思統一。プレシーズンの練習が実を結びつつあることを感じさせる勝利だった。
By サッカーキング編集部
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