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フォルトゥナ・デュッセルドルフを楽しむ“10”のポイント

2013.03.04

DUESSELDORF, GERMANY - JULY 27: during the 3. Bundesliga match between Fortuna Duesseldorf and SC Paderborn at the LTU Arena on July 27, 2008 in Duesseldorf, Germany. (Photo by Thomas Starke/Bongarts/Getty Images for DFB)

[サムライサッカーキング3月号掲載]

欧州で活躍している日本人は選手たちだけではありません。今冬、大前元紀選手の加入したフォルトゥナ・デュッセルドルフの日本デスクを務め、ドイツスポーツフリーランスワーカーとして活動している瀬田元吾さんも、その一人。今回は瀬田さんに、デュッセルドルフについて、その見どころを教えてもらいました!!

Fortuna Duesseldorf v SC Paderborn - 3. Bundesliga文=瀬田元吾 写真=Getty Images

魅力は一体感、大前はチームにアクセントを与えられる選手

Point1 今シーズン1部復帰!

Q:デュッセルドルフのチーム概要を教えてください!
A:フォルトゥナ・デュッセルドルフ(以下フォルトゥナ)はブンデスリーガが創設された1964年以前はドイツを代表する強豪クラブでした。リーガ創設後も79、80年にドイツカップを連覇。79年にはチャンピオンズリーグの前身であるUEFAカップウィナーズカップで準優勝を収めるなど、ドイツ国内ではトップクラブの一つでしたが、80年代後半以降、1部と2部を行き来するようになり、97-98シーズンに3部に降格してからは10年間、アマチュアリーグでの戦いを強いられました。しかし、2008-09シーズンに2部復帰を果たすと、12-13シーズンは15年ぶりの1部リーグ復帰。昇格1年目の今シーズンは、前半戦を13位で折り返す健闘を見せています。

本拠地はノルトライン・ヴェストファーレン州の州都デュッセルドルフ市で、5万4000人収容のESPRITアリーナがホームスタジアム。デュッセルドルフスポーツパークの中にあり、練習場も併設しています。愛称は「F95」で、これは創設年の1895年に由来します。クラブカラーは赤×白で、残念ながらマスコットは存在しません。

Point2 人間性も重視

Q:クラブの哲学や理念は?
A:ドイツサッカーは現在、若手育成に注力しています。フォルトゥナも若い選手たちにチャンスを与え、成長する機会を与えることを考えています。また選手獲得の場合には、予算面や個々の能力、ポテンシャルはもちろん“人間性”も重視しています。

Point3 カウンターから得点奪取

Q:チームのサッカースタイル、キーマンは誰ですか?
A:昇格1年目のチームとして、基本的にはディフェンシブな戦術を採っています。全員でしっかりと守り、カウンターのチャンスから得点を奪うことが理想です。注目選手はオーストラリア代表FWのロビー・クルーズ。トップスピードでボールを扱う能力に長け、速攻時に相手D Fに脅威を与える存在で、今シーズンのキーマンとなっています。また、MFアンドレアス・ランベルツは、フォルトゥナの生え抜き選手で、低迷期からすべての昇格を経験してきた唯一の存在です。新加入の大前元紀選手には中盤での正確なゲームメークと、相手ゴールへ迫るドリブルやラストパスに期待が掛かっています。

Point4 魅力は「一体感」!

Q:注目ポイントやチームの魅力を教えてください!
A:スタジアムのクオリティーは、ドイツでもトップレベル。また昇格クラブとは思えないほど熱狂的なサポーターが存在し、今シーズンも平均で4万5000人を超える観客動員数を誇ります。スタジアムでの一体感はどこのクラブにも負けないと思っています。また、選手たちの一体感も魅力です。チームとして一つにまとまっており、強豪クラブにも物怖じせずに挑んでいます。選手間の仲も非常に良く、ベテランと若手の融合もできていると感じます。まだまだ試合を優位に進めるというシーンは少ないですが、すべてにおいて少しずつレベルアップしていくことが重要だと考えています。

Point5 規律を重視

Q:マイヤー監督の指導法は?
A:とにかく規律を重視し、一人ひとりがしっかりと戦うことを求めます。また、決して過信せず、しかし自信を持ってプレーすることを、常に選手たちに意識させています。若手選手でも練習で良いパフォーマンスを続けていればチャンスを与えるなど、選手たちを限りなく平等に扱う監督でもあります。

Point6 人気のゴール裏はアウェー側が穴場

Q:スタジアム観戦や練習見学で気を付ける点やマナーを教えてください。
A:デュッセルドルフはとても日本人が多く、スタジアムにも多くの日本人が来ているので、安心して試合観戦を楽しんでいただけると思います。フォルトゥナのサポーターたちとの応援を楽しみたい方は、できるだけサポーターエリア(ゴール裏)に近い席をオススメしますが、あまり空きはありません(比較的2階席が空いています)。アウェー側のゴール裏は割と当日券の余裕もあるので、1階席での試合観戦を希望される場合、こちらで観戦をするほうが良いかもしれません。練習見学は日本のファンの方でも、もちろん可能です。練習時間は下記クラブ公式HP参照。(http://www.f95.de/home/index.htm 非公開日あり)をチェックし、注意していただくことと、練習中に妨げとなるような行為(フラッシュ撮影や、選手へ声を掛けるなど)がなければ、基本的には問題ありません。

Point7 即戦力候補は積極的に交流中!

Q:新加入の大前元紀選手の魅力や獲得理由、現在の様子を教えてください!
A:大前選手はプレーの精度が非常に高く、ボールロストの回数が少ない点が特長です。また、前線では相手DFへの脅威となるドリブルやラストパスでチームにアクセントを与えられる選手。日本企業の多いデュッセルドルフではありますが、戦力として評価し、獲得に至りました。言葉はなかなか通じないものの、オープンな性格で、みんなとすぐに打ち解けたようです。市内の日本食レストランへ一緒に食事に行くなど、積極的に選手たちとの交流を楽しんでいます。大前選手本人も日本との違いを良い意味で楽しみながら、ちょっとずつ自分のリズムをつかみだしていると思います。まずはドイツでの生活に慣れてもらい、チームのために全力でプレーをしてほしいです。

Point8 ブランドとしての価値を確立

Q:ドイツにおける日本人選手の評価や期待をどのように感じますか?
A:日本人選手の能力は過去2年くらいで確定的なものとなり、日本代表に名を連ねていない選手に対しても一定の評価が見えるようになってきています。既に、“日本人選手”はブームの域を出て、“ 一つのブランドとしての価値”を確立したように感じます。また、サッカー選手としての能力はもちろん、日本人の性質は非常に高く評価されています。“規律”と“真面目さ”はドイツ人がとても好むキーワードで、日本人がこの部分で他の選手より秀でていることは間違いないと、ドイツでは広く理解されています。

Point9 オススメはアルトビール

Q:日本人や日本企業が多い街の様子やオススメの観光スポットを教えてください。
A:デュッセルドルフには約3 0 0社の日系企業が存在し、多くの日本人の方々が仕事をしています。待望の日本人選手が加入したフォルトゥナへの期待は計り知れません。加えて日系企業や、そうした企業と関係のあるドイツ人たちからも、とても好意的な反応をいただいています。元々フォルトゥナへの関心は高く、15年ぶりの1部復帰となったことでみんながポジティブな話をしてくれることは喜ばしいことです。これから多く行われる、日本人対決の試合にも大きな注目が集まるでしょうし、いろいろな意味で期待も更に大きくなっていくと思います。デュッセルドルフは商業の街なので、歴史的な建物などは多くないのですが、ゲーテの生家やラインタワーは見る価値ありです。またデュッセルドルフの地ビール『アルトビール』もオススメです。

Point10 応援よろしくお願いします!!

Q:最後に、後半戦への抱負とメッセージをお願いします。
A:今シーズンの目標は「1部残留」。どれだけ強い相手でも、全員サッカーでしっかりと守れば、簡単に失点をすることはないですし、選手とサポーターが一体となって戦えば、勝ち点を奪うことはできるはずです。欧州で3番目に大きな日本社会を有するデュッセルドルフは、日本と縁の深い街です。その街の象徴的なクラブ、フォルトゥナに大前選手が加入し、最高の雰囲気となってきています。街の人々も日本人にとても友好的ですし、ぜひ足を運んでみてください。そして皆さんの熱い応援をよろしくお願いします!!

瀬田元吾(せた・げんご)筑波大学、群馬FCホリコシ(現アルテ高崎)でプレー後、2005年に渡独。欧州のアマチュアクラブなどでプレー後、フォルトゥナ・デュッセルドルフのフロントへ研修生として入り、08年に日本デスクを設立。現在も勤務中。日本とドイツを結ぶ“架け橋”として活動を広げている。ドイツのサッカーの楽しみ方を網羅した著書「ドイツサッカーを観に行こう! ブンデスリーガ×ドイツ語」(三修社刊)も必読。

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